【アグロバクテリウム法(あぐろばくてりうむほう)】

土壌細菌のアグロバクテリウムを利用した遺伝子導入方法。アグロバクテリウムは細菌自身が持つプラスミド(外にある環状DNA)の一部を植物細胞に入れ、その細胞DNAを組換える働きを持つ。この性質を利用して、改良したい植物に目的遺伝子を組み込み、遺伝子が導入できる。植物の細胞遺伝子を組み込むときに最も広く使われているのが、アグロバクテリウム法です。この手法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)という特別な細菌のはたらきを応用したものです。 アグロバクテリウムは土壌中にいる細菌で、植物に感染すると、感染した植物の根元にクラウンゴールと呼ばれるこぶを形成します。このとき、アグロバクテリウムの持つプラスミドDNAの一部(T-DNAと呼ばれる領域)が切り離され、感染した植物ゲノムのなかに組み込まれるという現象が起こっています。 T-DNAには、アグロバクテリウムの成長に必要な特殊なアミノ酸の合成遺伝子と、クラウンゴールを形成させる植物ホルモンを合成する遺伝子が含まれています。T-DNAが植物ゲノムに組み込まれると、この遺伝情報に基づいて、アミノ酸植物ホルモンが合成されるのです。 合成された植物ホルモンの作用で、クラウンゴールが形成されます。アグロバクテリウムは、合成されたアミノ酸を利用して、クラウンゴール内で生育することができます。 このT-DNAが植物細胞の染色体に組み込まれることに注目し、1982年に初めてアグロバクテリウムを使って植物に遺伝子を組み込むことが可能になりました。 アグロバクテリウム法では、T-DNA内の特殊なアミノ酸の合成遺伝子及びクラウンゴール形成に関与する植物ホルモン合成遺伝子は除去されて、目的の遺伝子のみが導入されるようになっています。 また、当初は応用できる植物が限られていて、単子葉植物には応用しにくかったのですが、現在はイネなどへもアグロバクテリウム法で遺伝子を組み込むことができるようになりました。