GMO Answers

質問

質問者 dgludden(ワシントン州、シアトル)

人類が何万年も慣れ親しんだ育種方法で、植物に望ましい特性を持たせる方が良いのではないでしょうか?

回答

農業は一般的に一万年前から始まったと考えられ、作物はそれ以来絶えず改良されてきました。 新たな作物品種の開発は、栄養品質や収量、収穫のし易さなどの性質を改善するだけでなく、人畜毒性を取り除くことも念頭に行われてきました。 各々の作物やそれらの野生種に含まれる有益な形質を同定することにより、育種家たちは、それらの作物種と商業用品種を交配させ、新たな改良品種を作りだすことができます。 さらに、化学処理や放射線の照射による突然変異も、新たな遺伝的変異をもたらすために活用され、育種家たちは、新しい形質を探索する際に、このような方法も使います。 伝統的な育種法には、安全であるという歴史があります。

しかしながら、伝統的な育種法は、同様に好ましい作物形質を得るために使われる現代的なバイオテクノロジー手法に比べ、往々にして、より時間がかかり、より費用がかさみ、正確性が低く、そして有効性にも劣ります。伝統的な手法を用いて、好ましい表現型をもたらす遺伝子や突然変異を見つけ出すのは、大変困難なプロセスで、数十年あるいはそれ以上の年月がかかることも稀ではありません。また、伝統的な育種法では、好ましい表現型には関係のない遺伝子が、数多く作物に組み込まれてしまいます。さらに、これらの無関係な遺伝子(そして、好ましい表現型の発現に関与する遺伝子でさえも)のヒトへの安全性は、殆ど知られておらず、検査もされていないのです。これらの遺伝子は、その作物にとって極めてまれなものかもしれませんし、意図的あるいは意図しない突然変異から生じたものかもしれません、さらに、食べても安全であるという歴史の裏付けがない、その作物の野生種からもたらされたものかも知れません。

この伝統的なプロセスの欠陥が、まさに、GM作物がこれだけの成功を収めてきた理由なのです。確かに、多くの貴重な形質、例えば、ヒトや他の動物に影響のない高いレベルの害虫抵抗性などは、従来の手法で同定できるとは考えられません。現代的なバイオテクノロジー手法では、導入遺伝子や結果として生じる遺伝子産物(通常はタンパク質)、GMイベントへの内性植物DNAの挿入部位について、完全なる特性把握が行われるため、より正確であると言えるのです。私たちの知識レベルが向上したこと、そしてGMプロセスによって改良作物の結果をコントロールできるようになったこと、これらが、作物改良の効率を著しく高め、作りだされた作物の有効性や安全性にまつわる不確実性を低減しているのです。要約すれば、GM作物は、伝統的な育種法と比較して、好ましい安全な作物形質を得る上で、往々にしてより速く、より安価で、より正確かつ効果的な手段を提供しているのです。

回答者 ロッド・ハーマン

回答者

ロッド・ハーマン

Rod Herman

ダウ・アグロサイエンス社、科学・政府関係部門、バイオテクノロジー規制科学グループ、科学アドバイザー

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