GMO Answers

質問

質問者 Celina Laraaa (カリフォルニア州、トーランス)

GM食品は有害なのでしょうか、それとも、有益なのでしょうか?

回答

食品に使われるGM作物に関し、世界の農家のネットワーク「Truth About Trade & Technology」に寄せられた農家の視点からの意見を、いくつか以下に紹介します。

回答者 コミュニティ・マネジャー

回答者

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コミュニティ・マネジャー

Community Manager

GMOAnswers.comのモデレーター

回答

タンザニアでは、研究者たちがバイオテクノロジーを使い、どうすればキャッサバを改良できるかを明らかにしました―これは誰もが祝うべき、また普及すべき発展です。

東アフリカの多くの地域では、キャッサバ褐条ウィルスが食料の確保に深刻な脅威を与えていたため、この開発は、とてもタイムリーなものでした。ある研究報告では、キャッサバ褐条病により、キャッサバ農場の生産性が70%も低下すると指摘しています。キャッサバがこの病気にかかると、多くの農家はその畑を放棄してしまいます―このようなことの繰り返しによって、アフリカの深刻な食料問題は徐々に悪化しています。

バイオテクノロジーはこのような状況に解決策をもたらします。科学者たちは、キャッサバの免疫-病気への耐性を強化し、致命的な褐条ウィルスから植物を守る方法を学びました。現在、タンザニアでは、これらの素晴らしい植物の圃場試験が行われています。この圃場試験が上手くいけば、この地域の農家や消費者は恩恵を受けることになるでしょう。東アフリカでは、多くの小規模農家がキャッサバの増収を目の当たりにするでしょう、そしてそれは、より安定した食料の確保や収入の増加にもつながるはずです。

とは言え、そのような未来は、政治が科学の邪魔をしない場合にのみ、訪れます。残念ながら、アフリカでは政治の介入はいつものことであるようです。往々にして、公共政策は、イデオロギー上の理由でバイオテクノロジーを嫌う一部の利害関係者によって、覆されてしまいます。

その結果はアフリカにとって悲劇です。アフリカは、何度も何度も、食の自給に失敗しています。

米国やその他の国々では、GM作物によって大きな収穫を得ています。中西部のトウモロコシ農家は、今年、記録的な収量増をなしとげていますがこれは、大まかに言えば、彼らが科学のもたらす最善の作物を育てることができたからです。

しかしながら、アフリカの農家の目から見れば、毎年が米国の生産者たちにとって素晴らしい年であるように思えます。私たちにも同じような成功を収められる日が来ることを、私は祈っています。

違いはテクノロジーにあります。米国ではテクノロジーを取り込んできました。そして人々は現在、以前に比べずっと多くの食料を生産しています。アフリカでは、多くの政府がGM作物に反対してきました。そして、私たちは飢餓や栄養不良に苦しみ続けているのです。

アフリカ大陸には47の国がありますが、たった4ヵ国―ブルキナファソ、エジプト、南アフリカ、スーダン―がGM作物の商業栽培を許可しているだけです。その他の国々では、気候変動や環境の持続可能性、急激な人口増、といった21世紀の諸問題に私たちが直面しているにもかかわらず、前世期の農業技術に頼らざるを得ないのです。

キャッサバは、より多くのバイオテクノロジーをアフリカに導入する上で、有効だと思います。生産されたキャッサバの殆どは、そのまま食べられ、直接的に人々を養うことができます。また、備蓄用作物としても不可欠です。他の主食穀物が病気や干ばつで収穫できない場合でも、多くのアフリカ人は、キャッサバで最低限の暮らしを守ることができます。

ですから、致命的な褐条病を防ぐことのできるキャッサバは天の恵みになり得ます―これは、この植物に頼って生活している人々だけの恵みではありません。このキャッサバを商業的に栽培することができれば、アフリカ、特に近隣の国々では、より多くのテクノロジーを受け入れる礎になるでしょう。現在、作物を含め、物やサービスは、比較的簡単に国境を越えることが出来るのです。

回答者 ギルバート・アラップ・ボル

回答者

ギルバート・アラップ・ボル

Gilbert Arap Bor

ケニアの農家

回答

インドは何年も前に農業にバイオテクノロジーを採りいれ、GMワタの商業栽培が始まりました。当時、私たちは、新たな進歩の波をすべて受け入れるだろうと思っていました。現在、インドのワタの95%以上は、害虫に抵抗性をもつ遺伝子組み換えワタです。

これは歓迎すべきスタートでしたが、規模は小さなものでした。ごく少数のインド農家がワタを生産していただけでした。その他の人々は、ワタ以外の作物を栽培していました。私たちは12億人以上の人口を擁する国に、十分な食料を供給することに目を向けていたものの、まだGM作物のベネフィットを認識していませんでした。

さらに、北アメリカや南アメリカがGMトウモロコシやGMダイズ、その他のGM作物を積極的に推し進める中、インド政府は異なる選択をしました。GMブリンジャル(インドの重要な野菜、米国ではナスとして知られる)の導入を目指した取り組みは行われず、インド政府は新たな形式のバイオテクノロジーに背を向けたのです。

このような中、規制当局は、科学ではなく政治的要因に基づいて、規制の判断を下しました。彼らは、権威のある研究者たちの信頼できる研究を基にして、判断を行うべきでした。しかしながら、彼らは、思想的な活動家たちによる虚偽やプロパガンダに反応したのです。

しかしながら、今年の総選挙で、ナハンドラ・モディ氏(Narendra Modi)が首相に選ばれたことで、あらゆることが変わりはじめたように思えます。モディ政権の環境大臣に就任したプラカシュ・ジャバデカル氏(Prakash Javadekar)は、科学技術を重視する方針を選択したのです。

インドは現在、約30種類のGMブリンジャルやカラシを試験する予定で、これはモディ首相の開発方針に沿ったものです。健全な科学が国の方針に息吹をあたえるなら、私のような農家は、近い将来、より良い作物を手に入れることが出来るでしょう。

私は、今後の進捗に期待しています。私はブリンジャルを小面積で栽培したことがありますが、害虫を防ぐことが出来ず、経済的にも見合わないため、栽培を諦めていました。GMブリンジャルが手に入るようになれば、インドの多くの農家は、恩恵を受けることができるでしょう。

私は、バイオテクノロジーがインドで根付くよう、出来る限りの手助けをしたいと思っています。私たちは、GMブリンジャルの圃場試験を成功させ、確実に商業栽培に結びつくよう、また、研究開発がその他の作物にも広がるようにする必要があります。今日、インドの科学者たちの精力的な研究により、有望な形質をもった様々なGM作物、例えばトウモロコシやイネ、オクラ、キャベツ、カリフラワーなど、が開発されています。これらの作物は、政府の承認を待ち、現在研究室内に留められています。このような状況は変わらなくてはなりません。これらの改良作物をインド農家の手にわたるようにすることが大切です。

回答者 V.ラビチャンドラン

回答者

V.ラビチャンドラン

V. Ravichandran

インドの農家

回答

およそ10年前にカンキツグリーニング病が発生して以来、フロリダのオレンジ生産は約半分に落ち込みました―これ以上生産が減れば、カンキツビジネスは経済的に立ち行かなくなるかも知れません。そうなれば、フロリダ産のオレンジは無くなるでしょう。

危機に瀕しているのはオレンジジュースだけではありません。オレンジを絞った後、残った果肉の多くは家畜の飼料になります―これは家畜にとって有用であるだけでなく、私たちがカンキツを様々な用途に利用することを可能にしています。捨てる部分は一つもなく、持続可能な農業の原則に従っています。

生産者たちは、考えられるあらゆる方法で、カンキツグリーニング病と戦ってきました。彼らは、病気に耐性を持つようなカンキツ品種を世界中で探しました。彼らは、この病気を媒介する昆虫を捕食するパキスタンのハチを研究しました。さらに、彼らは、カンキツの樹木を健康に保つため特製の加温テントまで作りました。

何年もの間、解決策は見つからず、カンキツグリーニング病は樹から樹に、そして果樹園から果樹園に広がって行きました。この病気を止めるのは無理、とも思われました。

そしてついに、業界はバイオテクノロジーに目を向けたのです。国内の他の地域で、遺伝子組み換えにより作物栽培が改善された様子を見て、同じような現代科学のツールを使えばフロリダのカンキツを救えるのではないかと考えたのです。そして、数年前、テキサスの研究者たちは、ホウレンソウの遺伝子をカンキツに挿入すると、カンキツの樹木がカンキツグリーニング病に罹りにくくなることを発見したのです。

現時点では、遺伝子的に改良されたカンキツの樹木を使わずに、カンキツグリーニング病を防ぐことができることを示す研究報告や示唆は皆無です。カンキツ産業を救うには、科学と技術が必要なのです。いや、なくてはならないのです。

今後、どのようなことが起こるかは分かりませんが、この技術は、今年、商業利用の承認を得るための第一段階をクリアし、近い将来、フロリダのオレンジを救える可能性のあるツールが、農家で当たり前のように使われるようになるかもしれません。これが実現するには、規制当局者たちによる、非常に複雑な判断が必要です。彼らは、健全な科学に基づいて判断するべきで、一部の人々が、GM原料を含んだ食品の表示ラベル義務化を主張する根拠となった、科学的な無知をベースにするべきではありません。

次のステップは、消費者に受け入れられるかどうかです。消費者は、遺伝子組み換え樹木からのオレンジジュースを飲むでしょうか?飲むべきではないと言う理由はありません。私たちはGM食品を毎日食べていますし、何年にもわたり食べてきたのです。

ホウレンソウはオレンジを救うでしょうか? この解決策は、なにか詩的な感じさえします。優れた二つの栄養源が一つになり、私たちに豊かな栄養と健康をもたらすのですから。

回答者 キャロル・カイザー

回答者

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キャロル・カイザー

Carol Keiser

C-BAR 畜牛会社の社長、「Truth About Trade & Technology」の理事会メンバー

回答

現在、私たちの州ではGM作物の栽培を制限する法律を廃止すべきか否かについて議論が行われています。私はそのような法律が無くなることを望んでいます:西オーストラリアの農家にも、現代農業のすべてのツールが使えるようにすべきです。特に、北のカナダから南のアルゼンチンまでの西半球で、既に普及し有効性が認められているようなGM作物は使えるようにすべきです。

そうすることが進歩の証なのです。残念ながら、私たちは後退に耐えなければならないかも知れません。南オーストラリア州やタスマニア州は、GM栽培の停止を続けています。次の西オーストラリア州の選挙で労働党が政権をとった際には、彼らはGM栽培を再び停止すると示唆しています。

GM食品をめぐる論争は、科学の基本についてのコミュニケーションが、上手く行かなかったことの証で、私たちの人生において最大の失敗であると言えるでしょう。世界中で、何十億人もの人々が技術のすべてを誤解しています。彼らは、GM作物が、予測不能な気候変動の下で、増大する世界人口や様々な環境課題に対処し食料を確保するために、最善の機会を提供するものであることを認識していません。

農業科学者として、私は、現代的な農業科学技術よりも、そうではない科学技術を志向するオーストラリアや世界の先進工業国、特に欧州におけるフード・チェーンの動向に興味を持っています。これらの国の満たされた消費者は、食料の生産に新たな農業科学を応用することに根拠のない懸念を訴え、単に安く安全でいつでも手に入ることを望むだけでなく、それ以上のことを食品に求めています。

私自身の研究や農業での経験を通じ、私は多くの農家やGM作物に係る研究機関と対話する機会に恵まれました。「Arctic」リンゴから除草剤耐性のキャノーラまで、GM食品は、人々を苦しめる飢餓や苦痛に対する人類の創意や科学の奇跡の勝利の証と言えます。私は、フィリピンで「ゴールデンライス」の研究試験に立ち会いました。栄養強化されたこのGM作物は、ビタミンAの不足を原因とした子供たちの失明という悲惨を取り除いてくれるのです。

ゴールデンライスの試験圃場を訪れ、そして目の見えない子供たちに会いましたが、彼らがこのライスを食べることができてさえいれば、彼らの人生はまったく違ったものになっていただろうと思い、とても悲しい気持ちになりました。

たった一つ、次の世代の子供たちに、失明の予防策が与えられる機会を妨げるものがあるとすれば、それは、西洋の国々に本拠を置くNGO活動家たちの不合理な反対運動です。彼らは、豊かで空腹を知らず何時でも栄養のある食料を手にすることが出来る国々に居ながら、常識や奇跡的な科学の可能性を切り捨て、仮定にすぎないリスクの固定化を許したのです。

私たちは、同様の有害な妄想が、オーストラリアに定着することを許すことはできません。

私たち家族の農場は西オーストラリア州にあり、穀物や羊を育てています。私たちは、GMキャノーラを栽培した経験があり、結果は様々でした。牧場では極めておおきな改善が見られましたが、穀物の収量増という点ではあまり恩恵がありませんでした。ですので、私たちは、次に栽培するまでにより良い技術が出現するのを心待ちにしています。

GM栽培が上手くいくには農家がどのような作物を栽培するかを自由に選択でき、経済性や環境の持続可能性を基にして意思決定できるようにすべきです。私たちが、一つ試してみたいと思うのは、干ばつ耐性のコムギです。そのような作物は、私たちのような雨の少ない西オーストラリア州で農業を営む人たちには助けになりますし、厳しい年でも少ない土地でより多くの食料を生産することが出来るでしょう。

回答者 ケリー・マントン-ピアース

回答者

ケリー・マントン-ピアース

Kelly Manton-Pearce

マードック大学(オーストラリア) ナフィールド・スカラー、リサーチ・フェロー、 「TATT Global Farmer Network」のメンバー

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