GMO Answers

質問

質問者 cameronbowallen (バージニア州、チャンプレイン) 

将来のGMOはどのようなものになるでしょうか?

回答

興味深く貴重な作物形質はたくさんあり、これらは既存の技術や次世代の遺伝子工学技術を用いることで、実現可能です。医療や産業用途のバイオテクノロジーには莫大な投資が行われており、そのおかげで現在では一つの植物に基礎的な遺伝子組み換えを施すコストは、20年前に比べ、ほんの僅かで済むようになっています。さらに、主要な特許の多くがすでに失効しているため、様々な組織にとって新たな形質の開発は、より一層容易なものとなっています。現在もっともお金と時間がかかるのは、様々な規制(審査)プロセスです。蓄積された経験、そしてCRISPRsやメガヌクレアーゼなどの最新かつ極めて精密な遺伝子工学技術の利用能力の向上、これらのことを踏まえれば、審査プロセスを緩和すべきであるとの主張には、十分過ぎるほどの説得力(理由)があります。このような理由に支持が得られれば(審査の緩和が実現すれば)、小規模な企業や公的機関でさえも、今までよりも経済的に、より先進的な作物形質の開発が可能となるでしょう。開発途上諸国の農家や消費者のために開発できる、また、開発されるべき貴重な形質は数多くあります。ここでは、「裕福な世界(国々)」にとっての選択肢に目を向け、お話しすることにします。

ある植物種の遺伝子を他の植物種に移すことにより、防除が困難な多くの病害虫問題を解決することができます。例えば、トマトの斑点細菌病(これにはトウガラシの遺伝子が有効)や重篤な被害をもたらすカンキツグリーニング病です。後者は、フロリダ州の(柑橘)産業に壊滅的な損害を与えている病気ですが、ホウレンソウ等の遺伝子を使って対処することが可能です。この2つの例については、既に研究開発は終了しており、(実用化に向けた)残された障害は、食品販売業者たちが、(遺伝子組み換えへの)恐れから反対する人々に立ち向かう意思があるか否かにかかっています。今後もこのような形質はたくさん開発されるでしょう。

他方、最先端の手法を用いて同じ種の作物間で遺伝子を転移させ、極めて必然的な形質を開発することも出来るようになっています。これらは、従来の育種手法では時間がかかり過ぎるか、もしくは複雑すぎるような場合に活用されることでしょう。この手法により、様々な作物、例えば、バナナやコーヒー、バレイショ、カカオ(チョコレート原料)、リンゴ、ナシ、ワイン及び食用ブドウなどの重要な病害虫問題が解決されるものと思われます。

植物内の1つあるいは幾つかの遺伝子の「スイッチをオフにする」だけでも、たくさんの興味深い形質が得られます。この方法で開発された作物(褐変しにくいリンゴ、傷に強いジャガイモ)は、現在商業化に向け準備が進んでいます。この種の技術は、様々な目的で、その他多くの作物にも適用されることでしょう。例えば、切ったときに涙が出る原因となる化学物質を産生しない玉ねぎや、スライスしたりワカモレを作るときにも褐変しないアボカドなどです。

ある種の望ましい成分(例えば、抗酸化物質や健康を促進するような化学物質)をより多く産生する果物や野菜が開発される可能性は、数えきれないほど多くあります。すでに、より健康に良く、機能性脂肪の含量が高い、新たな改変版のダイズ油が何種類か作られています(Plenish、Vistive)。油やデンプンの組成を変化させる取り組みは他にもあり、どれも興味深いものです。オーストラリアでは、公的機関の研究者たちが、コムギの血糖指数の低下を目指して遺伝子改変の実験を続けています。アレルギー物質を含まない作物を開発することも、技術的には実現可能です(但し、意図しない混入に対する法的責任が障害となるでしょう)。

規制の(不必要な)ハードルが取り除かれ、そして市場化に向けた不確実性が低減されれば、現代の植物バイオテクノロジーは、食糧供給(の問題解決)に幅広く貢献することが出来るでしょう。

回答者 スティーブ・サヴェージ

回答者

スティーブ・サヴェージ

Steve Savage

サベージ&アソシエイツ社、コンサルタント

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