GMO Answers

質問

質問者 IsaacJonesGMO(アラバマ州、センター) 

桃の木には遺伝子組み換えされたのもがありますか?

回答

先ず一つはっきりさせておきましょう-桃には商業化された遺伝子組み換え(GMO)品種はありません。幾つかの科学論文には桃の遺伝子改変の成功事例が報告され、ウェブ上では、幾つかの企業が、遺伝子組み換え桃をつくることができると主張していますが、信頼性に優れた再現性の高い遺伝子改変技術や桃の細胞組織から植物体を再生するシステムは、まだ開発途上にあります。

伝統的な育種では長い時間がかかりますし、消費者に望まれるような形質の組み合わせを持つ桃は、恐らく作ることができないでしょう。このため、既存の品種に欠けている形質を付加するツールとして、バイオテクノロジーが有力視されています。植物の遺伝形質転換を行う場合は、一般的に、望ましい遺伝子をもつDNAを植物細胞に移し、組織培養によって形質転換細胞から遺伝子組み換え植物を再生します。

しかしながら、成功裏に桃の遺伝子組み換えを行う上で、科学者たちの障害になっているのは、組織培養を使って形質転換細胞から遺伝子組み換え植物を再生することなのです。有効な遺伝子組み換えには、既存の栽培品種(が持つ形質)を維持しながら、その品種に一つだけ形質を付け加えることが必要です。例えば、除草剤に耐性のあるラウンドアップ・レディー・トウモロコシに、病害抵抗性を付加する場合のように。商業的に価値のある新品種を作り出すためには、植物体の組織細胞を遺伝子組み換え用に使いながら、元の栽培品種(の形質)を維持せねばなりません。組織細胞の形質転換が上手く行ったことを確認できれば、組織培養を行って植物体を再生することになります。これは、商業的に重要な多くの作物では、日常的に行われているプロセスですが、桃の場合は、とてもそのレベルに達していません。桃の木を一つの組織細胞から再生させるのは極めて困難で、このことがGMO桃の開発を行う上で大きな障害となっています。桃は、形質転換や再生のし難さと言う点で、Prunus属の中で特に目立った違いがある訳ではありません。Prunus属の植物、例えば、アンズやオウトウ、セイヨウスモモなどでは、遺伝子組み換え植物の再生に成功したとする報告が幾つか発表されていますが、殆どの報告は、わずかな数の組換え植物が形成されたという単報に留まっています。効率的で信頼性の高い形質転換システムの開発は、桃の遺伝子組み換えに不可欠であり、これが達成されて初めて、遺伝子移入を活用した素早い品種改良が可能となります。

回答者 クセーニャ・ゲーシック

回答者

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クセーニャ・ゲーシック

Ksenija Gasic

クレムゾン大学

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