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農業生物資源研究所 広範な病原菌への抵抗性を付与する遺伝子を発見

農業生物資源研究所は、イネから4種類の病原菌に対する抵抗性を付与する遺伝子“BSR1”を発見したと発表しました。理化学研究所植物科学研究センター、岡山県農林水産総合センター生物化学研究所との共同研究によるもので、2010年10月にPlant Biotechnology Journalオンライン版でも公開されました。
農業生物資源研究所では、約2万のイネFOXナズナ系統※1から、トマト斑葉細菌病菌を接種しても生き残る抵抗性系統を選別し、その原因となる遺伝子を特定しました。また、生き残った系統は、アブラナ科野菜類炭そ病菌にも抵抗性を持つことがわかりました。
この遺伝子をイネで過剰発現させると、白葉枯病および病原糸状菌によるいもち病にも、抵抗性品種として既に知られる「戦捷(せんしょう)」以上に強い抵抗性を示しました。
この遺伝子は、2種類の植物種で4つの病原菌に抵抗性を示したことから、BSR1(Broad-spectrum resistance 1)と命名されました。  

BSR1の過剰発現では、双子葉、単子葉両方の植物において細菌病、糸状菌病にそれぞれ抵抗性が示されたことで、様々な植物種で広範囲の病原菌に有効であることが期待されます。また今後は、飼料イネやバイオマス作物への利用による病害抵抗性の付与や、飼料、バイオマス、環境保全、観賞用等など様々な作物への栽培にも有効だと期待されています。  

さらに今回の研究は、イネFOXナズナ系統が、病害抵抗性遺伝子のスクリーニングへの応用が可能であることが分かり、更に選抜を継続することによって、イネ由来の多くの病害抵抗性遺伝子の単離が進むことも期待されています。
※1シロイヌナズナにおいて、イネの完全長cDNAを網羅的に大量に発現させる約2万系統の形質転換系統。2003年に農業生物資源研究所と他研究所と共同で作成された。 独立行政法人 農業生物資源研究所 ホームページ
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20101206/

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