世界の遺伝子組換え

生物多様性条約とカルタヘナ議定書

生物多様性条約(CBD)とは

生物多様性条約の目的

生物多様性条約の目的は、以下の3つです。

「生物多様性の保全」

国立公園などの保護地域の指定・管理といった、生物を生息地の中で保全すること、および動物園や植物園など本来の生息地以外での飼育・栽培により保全すること、環境影響評価の実施などが規定されています。

「生物多様性の構成要素の持続可能な利用」

各国での生物多様性の持続可能な利用を保護することが規定されています。人間は生物を自然の恵みとして利用していますが、その自然の資源を利用する際に使い尽くしてしまうのではなく、子孫の世代での利用も確保する狙いがあります。このような持続可能な利用には、保全と利用のバランスを考えることが重要となります。

遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な分配」

遺伝資源を保有する国の主権を認めること、遺伝資源を利用して得た利益を資源提供国と資源利用国が公正に配分すること、途上国への技術移転を公正で最も有利な条件で実施することが規定されています。つまり、発展途上国の利益に配慮し、生物資源を利用することによって得られる利益をバイオテクノロジーに利用した国だけでなく、原産国にも公平に配分することを意味しています。ここでの「利益」には、金銭のみでなく、知識や技術移転なども含まれています。

以上のように注目される点は、生物多様性の保全だけでなく、生物多様性を利用することもうたっているところです。上記3にあるように、ここでは利益の配分、バイオテクノロジーの取り扱い、知的財産権などの利用も規定しています。

これは起草過程において「国の経済的発展の権利を阻害されるべきではない」とする発展途上国の主張が受け入れられた結果です。いい方をかえれば、単純に自然保護を定めた条約でなく、経済の側面からも生物多様性にアプローチしようとする条約といえます。

CBDの特徴

CBDの特徴は、それが気候変動枠組み条約等と同様に枠組条約(framework convention)であることです。その条文の中で、基本原理を示して条約の目的や一般的な義務などを規定していますが、詳細は議定書などで決められる仕組みとなっています。

この仕組みの中心となっているのが、定期的に開催される締約国会議(COP)で、全体の方向性や条約の実施方法などについての議論が行われています。たとえば2002年に開催されたCOP6では、「生物多様性の損失の速度を2010年までに顕著に減少させる」とする「2010年目標」が採択されました。これまでにも、外来種に対する中間原則指針やエコシステムアプローチ十二の原則に関する合意、カルタヘナ議定書の採択など、多くの成果があがっています。また、本条約には「自国内の遺伝資源に対する国の主権的権利」が定められており「遺伝資源へのアクセスと公平かつ衡平な利益配分(ABS)」に関する議定書を策定することを目指した交渉が行われており、これはCOP10の大きな論点にもなっていました。COP10最終日まで続いた議論の結果、遺伝資源の利用に対し利益配分を行い、利益配分を遡って対照とする「遡及」は削除する、といった「名古屋議定書」が採択されました。

これらを受けて各国の具体的な実施内容は、国内法や行政、政策などに委ねられます。CBDでは、各締約国が取り組む活動の範囲において、各国が国家戦略として取りまとめることが明記されています。

日本における取り組み

CBDの締約国として、日本も生物多様性国家戦略を策定しています。1995年に、CBDに対応する形で初めての「生物多様性国家戦略」が策定されました。続いて、2002年には「新・生物多様性国家戦略」が策定され、2007年には、第三次生物多様性国家戦略が策定されています。

そして、2008年6月に「生物多様性基本法」が公布・施行されました。2010年には、生物多様性基本法に基づく初めての生物多様性国家戦略となる「生物多様性国家戦略2010」が閣議決定されています。

【 図: 生物多様性締約国会議(COP)の歴史 】