世界の遺伝子組換え

生物多様性条約とカルタヘナ議定書

日本におけるカルタヘナ法

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)

カルタヘナ法の施行

カルタヘナ議定書の批准に伴い、日本の国内法として2003年6月に制定され、2004年2月から施行されているのが、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)です。

カルタヘナ法では、遺伝子組換え植物の拡散を防止するための措置、未承認の遺伝子組換え生物などの輸入の有無を検査する仕組み、輸出の際の相手国への情報提供、違反者への回収や使用中止の命令などが定められています。

カルタヘナ法について

カルタヘナ法では、LMO(遺伝子組換え生物等)の取り扱いに関して2つに分類しています。

「第一種等使用」

野外で使用する場合の規定です。LMOのほ場での栽培や穀物としての流通などを対象として、一般環境中で使用する場合の規定であり、事前に主務大臣の確認を受けた上で使用することが義務付けられています(事前承認手続き)。

「第二種等使用」

実験室内での実験を行うような、研究や産業などを対象として、環境中への拡散を防止が課せられています。省令に定められた拡散防止措置を行うか、主務大臣の確認を受けたうえで拡散防止措置をとることが定められています。

わが国におけるカルタヘナ法に基づく手続きは、「輸入される食品、飼料、加工用のLMO」も第一種使用に含めて承認手続きの対象としている点で、カルタヘナ議定書よりも厳格な適用となっています。また、未承認のLMO等の輸入の有無を検査する仕組み、輸出の際の相手国への情報提供、違反者への回収や使用中止の命令などが定められて、厳密な管理が行われています。

カルタヘナ法の評価のポイント

カルタヘナ法の生物多様性影響評価では、LMO自体の特性に加え、野生生物への影響評価に力点が置かれており、(1) 生態系における競合の優位性による評価、(2) 有害物質の産生による影響、(3) 近縁野生種との交雑による影響についての検討が加えられます。

具体的には、申請される遺伝子組換え作物の宿主や遺伝子導入する形質、使用目的に応じた評価項目などが設定されます。この評価では、例えば、国内で昔から利用されてきた作物を宿主とした遺伝子組換え作物などの場合には、宿主作物と比較して、LMOの性質が野生動植物などに影響を与えるようになっていないかが評価のポイントとなります。

カルタヘナ法の運用

国内のカルタヘナ法の策定には、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省がかかわっています。遺伝子組換え植物の試験栽培に設けられた基準は、世界でもっとも厳密な基準の一つとなっており、安全性の高さが保証されています。

カルタヘナ議定書の施行にあたっては、その国の実情に合わせて弾力的に取り決めることができるようになっています。日本でも、カルタヘナ法施行から5年ほどが経過しました。徐々に評価の実績が蓄積されてきたことなどから、田畑を含めた開放系の環境などでの使用を規定する「第一種使用」の関連する部分では、規制の緩和も検討され始めています。

各国の運用については、対象とする課題の科学的な背景や社会経済の事情、あるいは異なる地理および環境での状況などの多面的な側面から、状況に応じて柔軟に対応する必要があります。たとえば、トマトの原産地は中南米であり、北アフリカや日本には近縁野生種は存在せず、交雑の心配はないと推測されます。一方で、ダイズの場合には、日本にはツルマメなど近縁種が存在しており、交雑の可能性を検討する必要が生じてきます。このように、トマトとダイズでは、評価の上で着目すべきポイントは異なっていると考えられます。また、ライフサイクルの長い樹木と一年生の農作物とでは、評価の期間や手法は異なるものでなければなりません。さらに、同一国内であったとしても、地域により、気候や環境が異なりますので、柔軟な対応が必要とされるのです。

カルタヘナ法における承認作物

日本において、すでにカルタヘナ法での承認をうけた作物などの件数は、150件ほどになっています。例えば、これらの件数は、青いバラやセイヨウナタネ、イネなどが対象ですが、導入する形質が異なれば、それぞれを1件としてカウントしているものです。なお、承認期間を過ぎているものも件数として含んでいます。