世界の遺伝子組換え

世界各国の法制度

カナダ

【生産の概況】
 カナダにおける遺伝子組換え作物の栽培面積は、2014年に1,160万ヘクタールと推計されており、世界第5位の生産面積の国となっています(※1)。主な栽培作物はカノーラ(ナタネ)、トウモロコシ、ダイズですが、テンサイも最近栽培され始めました。国内では、リンゴ、コムギ、アルファルファなどが開発されています。組換えアマニ(flax)の生産に関しては、1990年代に一旦生産されていましたが、分別困難であることから2001年に登録を解除しました。しかし、2009年に欧州においてカナダから輸出したアマニに組換え品種が発見されたことで、欧州では未承認遺伝子組換え植物として取り扱われ、混入防止のために輸出検査体制が強化されました。

【安全性審査】
 カナダにおける規制の最も大きな特徴は、遺伝子組換え技術など新規の植物を作り出す方法ではなく、新たな植物がもつ特性に注目し、特性が新規である限り、作出方法を問わず、規制の対象としているという点にあります。新規の特性を有する植物は、新規特性植物(Plant with Novel Trait, PNT)と呼ばれ、新規食品(novel foods、これまでの食経験がないもの)と並んで規制対象とされます。
 主要な規制官庁としては、カナダ食品検査庁(CFIA)、カナダ保健省(HC)、カナダ環境省(EC)があり、連携して新規特性植物や新規食品の開発と応用を監督しています。
 カナダ食品検査庁(CFIA)は、輸入、環境中での利用、品種登録、飼料利用に関する安全性審査に責任を有し、遺伝子組換え品種も含めすべての新規作物の隔離ほ場試験を規制しています。スタック品種に関しては、環境安全性に関する特別の審査はありませんが、環境中で利用する場合には、少なくとも60日前にCFIAの植物バイオセイフティ局(PBO)に届け出ることが必要です。届出を受けてPBOは、開発者に追加的データを求めることがあります。
 カナダ保健省(HC)は、食品医薬品規則(Food and Drug Regulations)のPart B・Division 28によって規定される新規食品(遺伝子組換え食品を含む)に関する健康への安全性と商業利用に対する責任を負っています。遺伝子組換え食品は、市場導入前に資料を提出することが義務付けられており、食料総局の新規食品部(Novel Foods Section)が科学的に安全性評価を行っています。
 カナダ環境省は、バイオレメディエーションなどに用いられる組換え微生物に関して、カナダ環境保護法(CEPA)および新物質申請規則(New Substance Notification Regulations)のもとで規制しています。新物質申請規則は、他の連邦法に対する補完的役割を有しており、他の規制でカバーされないものを規制することになっています(米国のTSCAが果たしている役割と同様です)。なお、上記以外に漁業海洋省(FOC)は、現在、水産バイオテクノロジーに対する規制を検討中です。
 カナダにおける品種登録では、新品種が生産者や消費者にとって明確なメリットがなければ登録できないことになっています。 
カナダはカルタヘナ議定書に署名はしましたが、批准はしていません。

【表示】
 HCとCFIAは共同で、食品医薬品法(FDA)に基づいてカナダの食品表示政策を担っています。表示は、米国と同様に栄養組成が従来のものと異なる場合に義務付けられていましたが、2004年4月15日、カナダ政府は遺伝子組換え原料を使用しているか否かの食品表示および広告を自主的に行うことに関する基準を、カナダの国家規格としてカナダ規格審査会が公式採用したことを発表しています。この自主的表示においても、消費者に誤解を与えないために、様々な条件を遵守することが求められています。意図せざる混入の許容水準に関しては、5%までとされています。

※1:ISAAA(2015)Brief 49: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2014