世界の遺伝子組換え

世界各国の法制度

中国

【生産の概況】
 中国はその人口を扶養するために、ハイブリッド・ライスをはじめとして、これまで積極的に農業技術革新を導入してきました。遺伝子組換え技術についてもこの点が当てはまります。遺伝子組換え技術の導入に積極的な中国では、2014年には390万ヘクタールで遺伝子組換え作物が栽培されたとされています(※1)。1997年以降、中国では6種類の遺伝子組換え植物(ワタ、トマト、ピーマン、ペチュニア、ポプラ、パパイア)が商業化されました。しかし、その栽培面積のほとんどは害虫抵抗性ワタの作付けによるものです。その他、商業生産されているものとして、パパイア、ポプラなどがあげられます。イネ(ハイブリッド用インディカ品種)とトウモロコシに関しては、2009年に安全証明が発行されましたが、その後の品種登録段階には進んでいません(安全証明は5年間の期限が切れ、その後更新されました)。ダイズに関しても、遺伝子組換えによる開発が進められていますが、消費者受容への配慮から、認可は遅れています。とはいえ、政府は、遺伝子組換え技術による作物・動物・林木の研究開発を積極的に進めており、この分野に対する研究開発投資は、公的機関としては世界最大規模と考えられます。

【安全性審査】
 2001年に「農業遺伝子組換え生物安全管理条例」が国務院より公布され、さらに2002年に関連規則として「農業遺伝子組換え生物安全評価管理規則」(国内安全管理)、「農業遺伝子組換え生物輸入安全管理規則」(輸入承認)、「農業遺伝子組換え生物表示管理規則」(表示規則)が農業部により制定されました。さらに2006年には「農業遺伝子組換え生物加工管理規則」(加工用承認)が制定されました。
 基本的な方針に関しては、農業部、衛生部、科学技術部、国家環境保護総局、国家品質監督検疫総局、対外貿易経済協力部、国家発展計画委員会の7省庁の代表者で構成する「遺伝子組換え生物の安全管理部門間合同会議制度」で協議されることになりました。また、農業部には「農業遺伝子組換え生物安全委員会」が設置され、専門的な観点による安全評価を行うこととなっているなど、農業部省が中心的役割を担っています。
 安全性評価は、実験室レベルでの試験以降、「中間試験」「環境放出試験」「生産性試験」の3ステップで審査され、それぞれのステップへ進むためには、農業部への申請が必要になります。「生産性試験」の審査後に、農業部へ安全証明を申請し認可されると、安全証明書が交付されますが、安全証明書の有効期限は一般に5年を超えないものとされています(更新可)。具体的な評価では、導入遺伝子や導入方法など総合的な評価から、4段階の安全性評価(「危険性なし」~「高度の危険性」) が判断されます。
 輸入品の安全性規制については、使用目的に応じてさまざまな承認手順(通関許可、試験、安全性評価)があり、最終決定は農業部が行います。

【表示】
遺伝子組換え体や組換え体に由来する原料から製造した食品には表示が求められることになります。現在は、ダイズ(ダイズ種子、ダイズ粉、ダイズ油、ダイズ粕を含む)、トウモロコシ(トウモロコシ種子、トウモロコシ油、トウモロコシ粉を含む)、ナタネ(ナタネ種子、ナタネ油、ナタネ粕を含む)、ワタ(ワタ種子を含む)、トマト(トマトの種子、トマトケチャップを含む)が表示対象リストにあがっています。 最終的には、食品の製造業者や加工業者の監視システムを導入することを目的としています。ただし、意図せざる混入を許容する閾値については、明示的に定められていません。

※1:ISAAA(2015)Brief 49: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2014