世界各国の最新研究状況【中国】

精力的に進められる遺伝子組換えイネの研究

中国は早くからバイオテクノロジーの農業分野への活用に着目し、1980年代には遺伝子組換え作物の調査を開始しました。現在、遺伝子組換え技術のより広い活用をめざして、積極的に取り組みが進められているところです。特に遺伝子組換えイネについては、2002年と2003年に予備的にほ場での試験を行ったところ、農薬の使用が80%減り、収穫が増加したという目覚しい結果が得られるなど、その実用化が期待されています。
中国科学院の中国農業政策センター所長のJikun Huang教授らのチームは、遺伝子組換えイネの栽培による効果を調べるために、中国の8つの農村で農場調査を実施しました。調査を行ったのは、バチルス・チューリンゲンシスの遺伝子を組み込むことにより、ニカメイチュウ(稲作地帯の70%に被害を与える害虫)およびハマキムシに抵抗性を持つXianyou 63と、豆(カウピー)の遺伝子を組み込んだII-Youming 86の2品種で、どちらも害虫抵抗性のイネです。これらを実際に試験栽培した結果、遺伝子組換えイネでは、農民の62%は農薬散布をいっさい行わず、約90%は、ニカメイチュウに対する農薬散布を行わずに済んだため、農薬使用量を在来品種より80%削減できました。
また、遺伝子組換えイネ2品種の平均生産量は在来品種より6%高まり、Xianyou 63単独の平均生産量は9%高まったという結果が得られました。

Huang教授は、「遺伝子組換え作物の導入は、中国農業の振興および食糧安全保障の改善、ならびに農家の所得向上につながる」と語っています。

サイエンス
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/308/5722/688

また、中国政府では、ハイブリッド種の害虫抵抗性ワタが中国全土で栽培されたとしたら農民は1年につき最高12億ドルの節約することができると見込んでいます。

2006年6月に、中国政府農業部のFarm Produce Quality Safety centerの次長であるLuo Bin氏は「遺伝子組換えワタを栽培することにより、殺虫剤の5万トンを削減し、168億元(21億米ドル)の経済効果を与える」とその効果についてコメントしました。2008年に温家宝首席は、「食糧問題を解決するためには、ビッグサイエンスに大きく依存しなければならない。それは遺伝子組換え技術、バイオテクノロジーである」と述べており、今後12年間で35億ドル(購買力平価で120-150億ドル)を遺伝子組換え作物の研究・開発に投資すると発表しました(ISAAA)。

中国政府ホームページ
http://www.gov.cn/english/2006-06/17/content_313305.htm