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植物科学関連6学会 遺伝子組み換え植物に関する正しい情報発信を政府に求める
日本植物生理学会(会長:京都大学 岡田清孝教授)ら植物科学関連6学会は政府に対し、遺伝子組み換え植物について国民の理解と信頼が得られるよう情報提供を行うことを求め、この度提言をとりまとめました。6学会は3月2日、内閣府BT戦略会議の岸本忠三座長に本提言の主旨説明を行うとともに、次回のBT戦略会議(3月15日開催)における対応を要望しました。
提言「遺伝子組み換え植物の社会における適切な受容を進める体制を」は、日本植物生理学会、日本農芸化学会、日本育種学会、日本植物細胞分子生物学会、園芸学会、植物化学調節学会によって起草されました。6学会の会員総数は約23,000人にのぼります。
提言ではまず、組み換え技術の有用性や必要性について「植物科学のみならず、医学も含めた現代生命科学に必須の技術であり、遺伝子組み換え技術を用いた作物の開発や食品への利用は、わが国における食糧戦略の根幹を成す重要な課題である」と訴えました。
また最近、北海道などの自治体において、遺伝子組み換え作物の栽培を規制したり、研究さえも制限するような風潮があることについて、「科学技術の発展を妨げるうえに、遺伝子組み換え食品に対する消費者の不信感をいたずらに増大させることになりかねない」と、研究者として強い懸念を表明しました。
このような状況から、「遺伝子組み換え植物に関するリスクコミュニケーションを進めることは、政府にとって重要な政策課題であり、内閣府のリーダーシップのもと、安全性や効果について適切な情報提供を行うとともに、過度の規制を防ぐよう」求めています。
なお、3月9日に開催された記者発表会において、奈良先端科学技術大学大学院大学 小泉望助教授は「消費者にわかりやすく説明することは研究者の責務と考え、研究者自身も消費者を対象としたシンポジウムなどを既に開催しており、今後も続けて行きたい」と述べました。本提言においても「研究者は安全性について十分な配慮をしつつ研究を進めるとともに、科学的根拠に基づいた情報を発信していくために一層の努力と協力を惜しまない」との決意を改めて表明しています。
日本植物生理学会ホームページ
提言:「遺伝子組み換え植物の社会における適切な受容を進める体制を求む」
http://www.jspp.org/16appeal/teigen2005.html