1996年に商業栽培が開始されて以来、遺伝子組み換え作物は世界中で急速に栽培面積を伸ばしてきました。ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネなどが主要な遺伝子組み換え作物であり、除草剤耐性品種と害虫抵抗性品種、あるいはそれらを組み合わせたスタック品種が最も利用されています。
国別の栽培面積
2019年現在、遺伝子組み換え(GM)作物は世界29カ国で合計1億9,000万ha以上の農地で栽培されています1。北米および南米の国々において特に大規模に栽培されていますが、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの国々でも栽培が行われています。GM作物の商業栽培が開始された当初は、先進工業国における栽培が大部分を占めていましたが、現在では発展途上国における栽培面積が先進工業国を上回っています。
順位 | 国名 | 栽培面積 (万ha) | 栽培作物 |
---|---|---|---|
1 | 米国 | 7,150 | トウモロコシ、ダイズ、ワタ、アルファルファ、ナタネ、テンサイ、ジャガイモ、パパイヤ、スクワッシュ、リンゴ |
2 | ブラジル | 5,280 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ、サトウキビ |
3 | アルゼンチン | 2,400 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ、アルファルファ |
4 | カナダ | 1,250 | ナタネ、ダイズ、トウモロコシ、サトウキビ、アルファルファ、ジャガイモ |
5 | インド | 1,190 | ワタ |
6 | パラグアイ | 410 | ダイズ、トウモロコシ、ワタ |
7 | 中国 | 320 | ワタ、パパイヤ |
8 | 南アフリカ | 270 | トウモロコシ、ダイズ、ワタ |
9 | パキスタン | 250 | ワタ |
10 | ボリビア | 140 | ダイズ |
11 | ウルグアイ | 120 | ダイズ、トウモロコシ |
12 | フィリピン | 90 | トウモロコシ |
13 | オーストラリア | 60 | ワタ、ナタネ、ベニバナ |
14 | ミャンマー | 30 | ワタ |
15 | スーダン | 20 | ワタ |
16 | メキシコ | 20 | ワタ |
17 | スペイン | 10 | トウモロコシ |
18 | コロンビア | 10 | トウモロコシ、ワタ |
19 | ベトナム | 10 | トウモロコシ |
20 | ホンジュラス | <10 | トウモロコシ |
21 | チリ | <10 | トウモロコシ、ナタネ |
22 | マラウイ | <10 | ワタ |
23 | ポルトガル | <10 | トウモロコシ |
24 | インドネシア | <10 | サトウキビ |
25 | バングラデシュ | <10 | ナス |
26 | ナイジェリア | <10 | ワタ |
27 | エスワティニ | <10 | ワタ |
28 | エチオピア | <10 | ワタ |
29 | コスタリカ | <10 | ワタ、パイナップル | 合計 | 19,040 |
作物別の栽培面積
作物別に見ると、ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネの順に、GM作物の栽培面積が大きくなっています。世界で栽培されている品種のうち、ダイズのおよそ7割、ワタのおよそ8割、トウモロコシのおよそ3割をGM品種が占めています。
形質別の栽培面積
「形質」とは、遺伝子組み換え技術によって導入した性質のことです。たとえば「除草剤耐性」、「害虫抵抗性」などが形質です。GM作物の商業栽培開始以降、除草剤耐性が常に最も利用されてきた形質です。当初は、除草剤耐性や害虫抵抗性などの形質を一つだけ含む品種が栽培されていましたが、近年では複数の形質を併せ持つ「スタック」品種の割合が増えています。
1ISAAA Brief 55: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops:2019
https://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/55/default.asp
https://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/55/default.asp