更新日:2022年11月28日

遺伝子組み換え作物の開発

遺伝子組み換え作物の開発には、長い年月と多額の費用がかかります。ここでは、遺伝子組み換え作物の開発のステージについて、また遺伝子組み換え作物の実際の開発手法についてご説明します。

開発にかかる時間と費用

1つの遺伝子組み換え作物の開発には、平均で16.5年、1億1,500万ドルが費やされています1

» 遺伝子組み換え作物を市場に投入するまでにかかる時間と費用(PDF)

遺伝子組み換え作物の開発は、「探索」、「イベント(特定の遺伝子組み換えのことを表す用語です)の構築と試験」、「規制承認」の3つのステージに大きく分けることができます。 最初の「探索」では、目的の性質(形質)をもたらすための候補となる遺伝子の探索と同定を行います。

「イベントの構築と試験」では、まず温室試験やほ場試験を通じて、最適な遺伝的コンストラクト(目的の遺伝子やプロモーターなどを組み合わせて構築したプラスミドのことです)の選抜を行います。選抜した遺伝的コンストラクトを開発企業が有する植物遺伝資源に導入し、さらなるほ場試験により商品としてのパフォーマンスを評価します。 最後の「規制承認」では、開発企業は、その遺伝子組み換え作物の栽培、もしくは食品や飼料としての利用を予定している国や地域における認可を取得します。

開発ステージのうち、全体の半分以上の時間と三分の一以上の費用を占めているのがこの規制承認です。また、このために費やされる時間は年々長期化する傾向にあります。 このように規制承認に要する時間と費用が長大化している一因は、遺伝子組み換え作物の規制に関する国際的な調和が不十分であることです。例えば医薬品の規制には、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use、医薬品規制調和国際会議)という規制要件の国際的調和を促進するための国際組織が存在しています。しかしながら、遺伝子組み換え作物の規制要件には未だ国際的な整合性が乏しく、各国の規制機関は独自の安全性データや試験要件を求め、既存の国際的ガイドラインからの逸脱も増えています。そのため、開発企業は各地域の規制要件に対応するため、重複した試験を数多く行う必要が生じています。

» 規制の国際的調和

1AgbioInvestor /CropLife International, 2022.Time and Cost to Develop a New GM Trait

遺伝子組み換え作物の作り方

1970年代後半に、土壌微生物の一種であるアグロバクテリウムが自らの遺伝子の一部を植物に導入することが発見されたことにより、植物の世界で遺伝子組み換えの研究が盛んになりました。アグロバクテリウムを「遺伝子の運び屋」として用いることで、植物に目的とする遺伝子を導入して、確実に短期間で新たな性質を加えることが可能となったのです(アグロバクテリウム法)。また、交配を行うことのできない他の生物の有用な遺伝資源も活用することが出来るようになり、品種改良技術は飛躍的にその可能性を拡げました。上記のアグロバクテリウム法以外にも、遺伝子をまぶした金粒子を植物に高圧ガスで打ち込む「パーティクルガン法」という手法もあります。

遺伝子組み換え作物の作り方 アグロバクテリウム法
遺伝子組み換え作物の作り方 パーティクルガン法

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