米国

※当ページに記載されている情報は、2018年11月現在のものです。

生産の状況

米国における遺伝子組み換え作物の栽培面積は、2017年に7,500万ヘクタールにおよび世界最大となっています1。内訳は、ダイズ3,405万ヘクタール、トウモロコシ3,384万ヘクタール、ワタ458万ヘクタール、アルファルファ122万ヘクタール、カノーラ87.6万ヘクタール、テンサイ45.8万ヘクタール、ジャガイモ3,000ヘクタールなどとなっています。これ以外にもリンゴ、スクオッシュ、パパイヤが栽培されています。ダイズ、トウモロコシ、ワタに関しては、94~96%が遺伝子組み換えで、普及はほぼ一巡したといえます。

安全性審査

米国では、1986年に出された「バイオテクノロジー政策に関する調和的枠組み」により、3省庁(農務省、環境保護庁食品医薬品局)間で規制を分担してきました。この調和的枠組みに関して、オバマ政権下では大統領府を中心として、長期的戦略を策定すると共に、見直し検討がなされていましたが、まだ具体的な改訂方針は示されていません。

遺伝子組み換え食品の安全性について、連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA)を根拠として、FDA(米国食品医薬品庁)が確認を行っています。安全性審査を受けることは法的には義務付けられていませんが、商品化にあたって開発企業はFDAに事前に安全性確認を自主的に求めています。米国では食品にも製造物責任が課せられていますので、FDAに事前確認を得ておくことが企業にとっても必要と考えられています。

また、環境中で栽培される作物に対しては、植物病害虫(plant pest)の危険性の観点からUSDA(米国農務省)が審査し、問題ないとされたものを認可(規制から除外)しています。規制の根拠法は、連邦植物保護法(PPA)です。USDAは、野外試験の認可・監督を担当していますが、野外試験の申請には届出制と許可制の2種類が設けられ、これまでの知見が蓄積されリスクが低い場合には、届出制による申請が可能です。

植物内で農薬成分を作り出すような害虫抵抗性作物については、EPA(米国環境保護庁)の認可も必要です。この場合の規制は、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)を根拠法としています。この種の作物の野外試験には、EPAの許可も必要ですが、小面積(0.4ヘクタール以下)であればこの手続きが免除されています。

なお、スタック品種に関しては、既存品種の掛け合わせと同等と考えられ、特別に安全性審査は行われていません。

また遺伝子組み換え動物に関しては、新規動物薬を規制するという観点から、FDAがその安全性を審査しています(根拠法は、連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA)です)。さらに遺伝子組み換え微生物に関しては、EPAが規制を担当しています(根拠法は、連邦有害物質規制法(TSCA))。

それぞれの法律のもとで、連邦行政規則(CFR)が制定されており、規則の詳細は、このCFRで規定されています。米国ではこれまで遺伝子組み換え生物に関して新法を制定してきませんでしたので、この連邦行政規則の改定により対応がなされてきました。

表示

これまで遺伝子組み換え食品に関する表示は義務付けられていませんでしたが、2016年7月に「全米遺伝子工学食品情報開示法」が成立し、情報開示基準の策定が農務省のもとで開始されました。2018年5月には基準案が公表され、パブコメが行われましたが、現時点(2018年11月)で最終決定には至っていません。提案では、情報開示のための方法(表示、マーク、QRコードなど)、閾値、表示対象品目(高度精製食品を含めるか)等に関して複数の案が提示されました。もしも連邦の本基準が施行された場合には、州独自の表示規制を導入することはできなくなります。

※協力:名古屋大学大学院 環境学研究科 立川 雅司 教授

1ISAAA(2018)Brief 53: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2017

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