生物多様性条約

生物多様性を保全し、持続可能な範囲で利用していくため、1993年に生物多様性条約が発効しました。現在までに日本を含む200か国近い国と地域が本条約を締結しています。

生物多様性とは

地球上には、森林や河川などの様々な自然があり、そこには多種類の生物が存在し、多様な遺伝子の違いによって個性が育まれています。この多様性を表す概念として、「生物学的多様性 (biological diversity)」または「生物多様性 (biodiversity)」という造語が生物学者であるW.G.ローゼンによって提唱されました(1985年)。生物多様性は、自然の恵み、すなわち環境の安定化や農産物の安定供給、さらには文化的な豊かさ(これらは生態系サービスとも呼ばれます)の源泉であり、バランスの取れた状態で維持されていくことが大切であると考えられています。

なお生物多様性条約(CBD)の条文では、生物多様性を「生命に表れているあらゆる多様性」と定義しており、「種の多様性」「遺伝子の多様性」「生態系の多様性」という3つの階層レベルでの多様性として考慮しています。

生物多様性条約(CBD)

これらの多様性を保全していくことを目的に、1992年、生物多様性条約(CBD:Convention on Biological Diversity)は、ブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択され、翌年発効しました。日本を含む196の国と地域が本条約を締結しています。

この条約は、生物多様性を単に保全・持続させるだけでなく、生物多様性の構成要素の持続可能な利用までを目的としたものです。具体的には、次の3つの目的が規定されています。

1. 生物多様性の保全

生物を国立公園などの保護地域の指定・管理による本来の生息地の中での保全、動物園や植物園など本来の生息地以外での飼育・栽培による保全、環境影響評価の実施などが規定されています。

2. 生物多様性の構成要素の持続可能な利用

各国での生物多様性の持続可能な利用を保護することが規定されています。自然の資源の利用と、子孫の世代のための保全のバランスを考えることが重要となります。

3. 遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な分配

遺伝資源を保有する国の主権を認めること、遺伝資源を利用して得た利益を資源提供国と資源利用国が公正に配分すること、途上国への技術移転を公正で最も有利な条件で実施することが規定されています。つまり、発展途上国の利益に配慮し、生物資源を利用することによって得られる利益を、利用国だけでなく原産国にも公平に配分することを意味しています。ここでの「利益」には、金銭のみでなく、知識や技術移転なども含まれています。

CBDの特徴は、それが枠組条約(framework convention)であることです。その条文の中で、基本原理を示して条約の目的や一般的な義務などを規定していますが、詳細は議定書などで決められる仕組みとなっています。この仕組みの中心となっているのがおよそ2年に1度開催される締約国会議(COP:Conference of the Parties)で、条約の実施に関する報告、意思決定が行われています。

日本における取り組み

CBDの締約国として、日本も生物多様性国家戦略を策定しています。1995年に、CBDに対応する形で初めての「生物多様性国家戦略」が策定されました。続いて、2002年には「新・生物多様性国家戦略」が策定され、2007年には、第三次生物多様性国家戦略が策定されています。そして、2008年6月に「生物多様性基本法」が公布・施行されました。2010年には、生物多様性基本法に基づく初めての生物多様性国家戦略となる「生物多様性国家戦略2010」が閣議決定されています。日本は本CBDの各種作業部会等に積極的に参加すると同時に、最大の拠出国のひとつとして、同条約実施のために多大な財政的支援を行っています。さらに生物多様性日本基金を通じて各国の取組を支援しているほか、締約国会議の運営にも貢献しています。

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