様々な国際的な枠組み

遺伝子組換え技術について、国際的に調和の取れた科学的な規制システムを確立することは、イノベーションの促進や国際貿易のために重要です。遺伝子組換え技術の国際的な規制が確立された経緯とその概要についてご説明いたします。

遺伝子組換え技術の国際的な規制の概要

遺伝子組換え技術をいかに管理するかーその国際的議論の端緒となったのは、1975年にポール・バーグPaul Berg博士らの呼びかけにより米国カリフォルニア州アシロマで開催された国際会議、いわゆるアシロマ会議です。その後、遺伝子組換え技術の国際的な規制に関し、国連や経済協力開発機構OECD)、世界貿易機関WTO)などの枠組みで、様々なガイドラインや提言、規則が考案されてきました。

1992年の国連環境開発会議において採択された「生物多様性条約」と、その条約の細目の定めであり2003年に発効された「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」が、遺伝子組換え生物の規制に関する最初の国際法として知られています。日本も、この議定書を担保するための国内法である「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」カルタヘナ法を2004年に施行しています。

また、WTOの「衛生と植物防疫のための措置(SPS: Sanitary and Phytosanitary Measures)協定」により認定されている3つの国際基準設置機関、すなわち食品安全に関するコーデックス委員会、植物防疫に関する国際植物防疫条約(IPPC: International Plant Protection Convention)、動物衛生および人獣共通感染症に関する国際獣疫事務局(OIE)も、遺伝子組換え技術の安全性についての基準を定めています。遺伝子組換え食品の安全性については、日本を含むWTO加盟国はコーデックス委員会の基準に則って評価制度を確立しています。

国際的に調和の取れた科学的な規制システムを確立することは、イノベーションの促進や円滑な国際貿易のために重要です。遺伝子組換え技術は日々進歩しており、その規制のあり方を巡って現在も国際的な議論は続いています。

遺伝子組換え技術の国際的な規制の進展

表1 遺伝子組換え技術の安全性評価に関する主要なイベント

1975年2月遺伝子組換え技術の安全性に関する初めての国際会議、アシロマ会議が開催。
1986年OECD、「組換えDNAの安全性に関する考察」 を公表。
1992年6月国連環境開発会議において、「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)」が採択。
1993年OECD、「モダンバイオテクノロジー応用食品の安全性評価」 公表。環境安全性の基本概念であるファミリアリティと、食品安全性の基本概念となる実質的同等性を打ち出す。
1993年12月生物多様性条約が発効。
1999年7月第23回コーデックス委員会総会で、バイオテクノロジー応用食品部会が設立され、日本が議長国に選定。
2000年1月生物多様性条約特別締約国会議再開会合において、「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」が採択。
2003年6月日本、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」を公布。
2003年7月第26回コーデックス委員会総会で、「モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則」 「組換えDNA植物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」 「組換えDNA微生物利用食品の安全性評価の実施に関するガイドライン」 が採択。
2003年9月カルタヘナ議定書が発効。
2003年11月日本、カルタヘナ議定書を締結。
2004年2月日本、カルタヘナ議定書の日本への発効を受け、カルタヘナ法を施行。
2010年10月生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS:Access and Benefit-Sharing)に関する名古屋議定書」が採択。
2014年10月名古屋議定書が発効。
2017年5月日本、「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針(ABS指針)」を公布。
2017年5月日本、名古屋議定書を締結。
2017年8月日本、名古屋議定書の日本への発効を受け、ABS指針を施行。

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