フィリピン

※当ページに記載されている情報は、2018年11月現在のものです。

生産の状況

フィリピンは、東南アジア諸国のなかで、最も早くから遺伝子組み換え作物の栽培を開始しました。2003年から遺伝子組み換えトウモロコシの栽培が開始され、2017年には64.2万ヘクタールの組み換えトウモロコシが栽培されています。近年は、除草剤耐性害虫抵抗性の両方の特性を有するスタック品種が主流になっています1。アメリカからの研究開発支援を受けつつ、遺伝子組み換えナスの研究開発を進め、商業栽培に至る最終段階になっていましたが、この商業化をめぐって裁判が起こされ、2018年11月時点ではまだ栽培には至っていません。またフィリピン稲作研究所(PhilRice)や国際稲研究所(IRRI)を中心として、ゴールデンライス(ベータカロチン強化米)の研究開発も進められています。

安全性審査

バイオテクノロジーに関する基本法制は、フィリピン農業省(DA)が2002年に公布した行政規則第8号(DA-AO8)「モダン・バイオテクノロジーを用いて作出された植物および植物製品の輸入と環境放出に関する規則と規制」によって定められていました。しかし、組み換えナスの商業化をめぐる裁判の過程で、規制における安全性審査手続き等を定める行政規則第8号(DA-A08)に不備があるとされたことで、一時的に審査手続きの無効が宣言されました(2015年12月の最高裁判決)。そしてこの判決をうけてフィリピン政府は、規制の改訂を検討し、2016年4月、新たな規則(Joint Departmental Circular No.1)を導入しました2

この新たな規則は5省庁の合同によるもので、それぞれ次のような役割を分担することが確認されています。環境自然資源省(DENR)と保健省(DOH)は、それぞれ環境影響評価および健康影響評価の観点からリスク評価を担当します。内務地方省は、関連省庁と連携しつつ市民からの意見聴取過程を監督します。科学技術省(DOST)は閉鎖系利用における組み換え生物の評価とモニタリングを担当します。農業省(DA)は、その下部組織である植物産業局(BPI)を通じて、野外試験や増殖、食品・飼料利用に関して認可を行います。飼料安全性に関しては、動物産業局(BAI)が担当しています。

なお、植物内で農薬成分を発生する組み換え植物に関しては、肥料・農薬局(FPA)が2017年7月に追加的な規則(Memorandum Circular No. 10)を制定し、その制度的位置づけが明確になりました。これ以前は、農薬成分を有する作物はすべて条件的認可とされていたためです。またスタック品種に関する取扱いは従来通り、新たに申請する必要があります。

フィリピンは、カルタヘナ議定書の締約国です。

表示

食品表示は、フィリピン食品医薬品局(PFDA)が所管となります。フィリピンでは、遺伝子組み換え食品に対する表示義務はありません。ただ、2018年11月時点において義務表示を求める法案がフィリピン議会に上程されています。

※協力:名古屋大学大学院 環境学研究科 立川 雅司 教授

1ISAAA(2018)Brief 53: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2017 2USDA-FAS (2018) Philippines: Agricultural Biotechnology Annual. GAIN Report Number RP 1835.

世界各国の法制度

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