EU(欧州連合)

生産の概況

EU加盟国における遺伝子組換え作物の栽培は、スペインに集中しており、その他の国としては、ポルトガル、チェコ、スロバキア、ルーマニアにおいて栽培されています。スペインに集中している背景には、ヨーロッパアワノメイガの発生が集中していることが関連しています。他方、栽培禁止措置を導入している国もみられます。2015年3月より、環境放出指令が改訂され(指令2015/412)、遺伝子組換え作物を栽培するかどうかに関して、加盟国で個別に判断し、栽培制限を行うことができるようになりました(オプトアウト)。オプトアウトには、各作物の認可過程において加盟国が申請企業に要請する方法と、認可後に加盟国が欧州委員会に対して栽培制限を申請する方法の2通りの方法が可能です。ただし、栽培を制限する場合の理由には、安全性以外の理由(農業政策や土地利用計画など)に限定されています。また2015年4月には、上記とは別に、食品・飼料流通上のオプトアウトの提案が、欧州委員会からなされ、現在、欧州議会と理事会で検討されています。

安全性審査

栽培や流通など環境中で利用される遺伝子組換え作物の安全性確認は、「2001/18/EC 遺伝子組換え体の意図的環境放出に関するEC指令」に基づき、遺伝子組換え生物の安全性を確認しています。また食品として利用される遺伝子組換え作物に関しては、「遺伝子組換え食品飼料規則No. 1829/2003」に基づいて申請と安全性審査を求めることもできます。安全性審査は、環境放出指令に基づく場合と、遺伝子組換え食品飼料規則に基づく場合で、手続きが若干異なります。環境放出指令の場合には、まず認可申請を行った国の評価機関で安全性審査を実施し、その結果に関して他の加盟国から反論があった場合のみ欧州食品安全機関(EFSA)で安全性審査を行いますが、遺伝子組換え食品飼料規則の場合には、すべての場合においてEFSAが安全性審査を実施します。

いずれの場合も、基本的にはEFSAのもとで組織されたGMOパネルにおいて科学的観点から安全性評価が行われ、この評価に基づいて、欧州委員会が認可の判断を行います。また認可された遺伝子組換え作物や食品の認可期間は10年となっています(更新あり)。

EUにおける遺伝子組換え作物の栽培禁止措置(モラトリアム)や安全性認可が滞っていることに対して、アメリカなどから2003年にWTOに提訴され、EUが敗訴したことから、認可スピードを高めることが課題になっています。認可が滞りがちになる背景には、個々の品目の認可が、加盟国の代表者の合議機関における投票によって決定され、その際、必要な賛成票が得られない場合には、大臣級の会合での投票に持ち込まれるなど、複雑な決定手続きに基づいているためでもあります。

なお、欧州委員会のなかで、遺伝子組換え作物に関する規制や政策は、健康・消費者保護総局(DG Sante)が中心的に担っています。これは、かつて環境総局、研究総局、農業総局、産業総局などに政策担当が分散し、方針の対立などが見られていたことから、バローゾ欧州委員長が権限を単独の総局に集約したことによるものです(2010年2月より)。

また欧州食品安全機関(EFSA)は、BSE事件を受けてリスク評価を行政機関から独立させるために設立された機関で、イタリア・パルマに置かれています。

表示

商品化された遺伝子組換え作物には、「表示・トレーサビリティ規則No. 1830/2003」のもとで、流通記録の5年間保持、表示義務が課せられます。表示は、遺伝子組換え体に由来するDNAやそのDNAが作るタンパク質が、最終製品中に存在するか否かに関わらず、遺伝子組換え体から生成されたすべての食品に義務付けられます。これにより、精製油のような加工食品や、食品添加物、飼料などについても表示が義務付けられています。表示の方法は、”この製品は、遺伝子組換え体を含む”または”…遺伝子組換え(作物名)から製造”と表記することが義務付けられます。ただし、EUとしては「遺伝子組換え作物は含まれていない」、「遺伝子組換え不使用」などの表示制度は設けていないものの、一部の加盟国(ドイツやフランス)では「遺伝子組換えフリー」の表示制度を認めています。なお、承認を得ている作物については、分別していても偶発的に組換え体が混ざってしまった場合、このようないわゆる意図せざる混入について、0.9%以下であれば表示を免除することになっています(なお、0.9%は当該食品の全重量に対する割合ではなく、個々の原材料毎に占める割合です)。

世界各国の法制度

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