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日大研究チーム、藻類の遺伝子で植物の光合成能力UPと成長促進に成功
日本大学・生物資源科学部の奥忠武教授らの研究チームは、遺伝子組み換え技術を用いて植物の光合成能力を高め、成長を促進させることに成功しました。その成果は「Plant & Cell Physiology(植物細胞生理学誌)」に発表されました。
「光合成」とは、植物が光から炭水化物をつくりだすこと。光エネルギーで水を分解して酸素と化学エネルギー(ATP)に変換する「明反応」と、明反応で作られたATPを用いて二酸化炭素から炭水化物を合成する「暗反応」があり、この2つの反応をあわせて光合成と呼ばれます。
奥教授らの研究チームでは、海藻の光合成に関連する遺伝子「シトクロームC6」を、シロイヌナズナという植物に組み込みました。この植物を発芽後60日間栽培したところ、野生のシロイヌナズナに比べて光合成産物の量が明反応のATPでは約2倍、暗反応の炭水化物では1.2倍に増え、二酸化炭素の吸収能力も1.3倍となるなど光合成能力が強化されていることがわかりました。同時に、草丈や根の長さ、葉の面積なども大きくなり、成長も促進されていました。シトクロームC6遺伝子は、太陽光が届きにくい水中に生息する海藻など物は持っていますが、陸上植物は持っていません。水中植物が陸上植物に進化する過程で、シトクロームC6が消失したものと考えられています。
今回開発された植物の光合成能力を高め、成長を促進させる技術の開発は、バイオエタノール、木材、パルプ、食糧用作物などの生物資源の増産につながるだけでなく、二酸化炭素削減などの環境保全の面でも大いに期待されています。
Plant & Cell Physiology(植物細胞生理学誌)ホームページ
http://pcp.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/pcm064v1
日本大学生物資源科学部ホームページ
http://www.brs.nihon-u.ac.jp/news_contents/news/20070712/oku_news.html