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大阪大学など研究グループ 遺伝子組み換え技術を用いて甘草の有効成分の生産に成功
大阪大学、理化学研究所、横浜市立大学、東京工業大学、千葉大学、常磐植物化学研究所で構成される研究グループは、マメ科の薬用植物「甘草」(カンゾウ)の有効成分である「グリチルリチン」の合成に関わる酵素遺伝子を発見しました。
甘草の根は「甘草根」と呼ばれ、天然の甘味料として世界的に利用されており、また甘草根から抽出される成分は多様な薬理活性をもち、医薬品、化粧品としても広く用いられています。現在、甘草の多くが中国、中近東などの乾燥地帯の野生種で、価格が高く供給も不安定です。安定的に甘草根を供給するためには、品種改良技術の確立に加えて、有効成分グリチルリチンを生産する育種技術、発酵工業による生産技術の確立が求められていました。
研究チームは、グリチルリチン生合成分子機構の解明だけでなく、この合成に関わるCYP72A154と命名した遺伝子を酵母に導入することで、「グリチルレチン酸」の生産にも成功しました。これは、別のマメ科植物「ミヤコグサ」から単離していた複数の遺伝子を酵母に導入して、グリチルリチンの生合成中間体の1つである「11-オキソ-β-アミリン」を生産するよう改変し、さらにCYP72A154遺伝子を導入したところ、この酵母がグリチルレチン酸を生産することを確認したものです。グリチルレチン酸は、甘味有効成分グリチルリチンの生合成中間体であり、抗炎症作用や抗アレルギー作用が確認されています。今回の研究成果は、将来的に組み換え酵母における生産性の向上をはかることにより、グリチルレチン酸の生産への応用ができると期待されています。
研究成果は米科学雑誌「The Plant Cell」に2011年11月29日に掲載されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22128119