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東京大学 植物の鉄吸収に関わるタンパク質を発見、アルカリ土壌耐性作物の作出に期待

 東京大学大学院農学生命科学研究科は、イネ科において土壌中からの鉄の吸収に関わる「ムギネ酸」を分泌するためのキーとなるタンパク質を、イネとオオムギから発見しました。この研究は東北大学と共同で行われ、その成果は2011年2月にThe Journal of Biological Chemistry(オンライン版)に掲載されました。

 植物は土壌から鉄を取り込み、動物はその植物の鉄を栄養源としています。土壌中の鉄は水に溶けにくく、特に土壌がアルカリ性である場合、植物は鉄欠乏になることが知られています。イネやトウモロコシなどの主要な穀物が属するイネ科の植物は「ムギネ酸」というキレート物質*1を根から分泌し、土壌中の鉄を溶かして吸収しています。

 研究チームは、既にムギネ酸類に関わる遺伝子の解明等を進めてきましたが、今回、最後まで未解明であった、ムギネ酸類を土壌中に分泌するために働くタンパク質「TOM1」の同定に、世界で初めて成功しました。
 さらに、植物の鉄栄養に関わる遺伝子を利用して、アルカリ土壌における鉄欠乏耐性の作物の作出に成功しており、TOM1を作り出す遺伝子を利用することで、さらに望ましい形質を持った耐性作物を作り出せるのではないかと考えています。
 また、植物の鉄吸収は、食品としての栄養価を左右する重要な事項で、これまでの研究成果を組み合わせることで、鉄分が豊富な食品を作ることにも大きく貢献できる、と期待されています。

*1キレート物質:金属イオンなどに結合して、利用されやすい形に変える物質

東京大学大学院農学生命科学研究科ホームページ
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics110228.html

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