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(独)農業環境技術研究所 遺伝子組み換えダイズとツルマメとの自然交雑は極めて起こりにくい
(独)農業環境技術研究所は、平成17-19年の3年間にわたり遺伝子組み換えダイズとツルマメとの自然交雑について栽培実験を行っていましたが、その実験結果から、人為的に交雑しやすい条件下でも、交雑する頻度は1,000分の1以下で、自然交雑は極めて起こりにくいと発表しました。
ダイズやその近縁野生種であるツルマメは同一の花の中で受精し、花粉が他の花へ移行して受精することは少ないことが知られおり、また、ダイズに比べツルマメでは受精が行われる開花のピークが約1か月遅いとされ、遺伝子組み換えダイズと在来ツルマメとの自然交雑率は極めて低いと考えられています。農業環境技術研究所では、自然交雑に関する知見を収集するとともに、3年にわたり試験ほ場において遺伝子組み換えダイズとツルマメとの自然交雑の頻度について検証しました。
1年目の実験では、両種の開花のピークを近づけ、からみつくほど近づけて栽培(混植)し、実際に生えている状態よりも交雑をしやすい条件で栽培を行いました。その結果、交雑が確認されたのはツルマメより採取された種子から出芽した32,502個体中1個体でした。
2年目の実験では、開花期が異なる4種の組み換えダイズとツルマメを開花期の調整をせずに混植、また、組み換えダイズからそれぞれ2、4、6、8、10mずつ離して栽培したツルマメでは開花期の重複はほとんど見られず、混植したツルマメ44,348個体、距離をとって栽培したツルマメ全68,121個体どちらにおいても交雑した個体はありませんでした。
3年目の、開花のピークをさらに近づけ最も受精しやすい条件で行った栽培実験では、混植したツルマメは25,741個体中に35個体、距離を置いて栽培したツルマメ66,671個体中でも2、4、6mでそれぞれ1個体のみ、8、10m距離を置いて栽培したものでは交雑した個体は認められませんでした。
今回の実験で、実際には異なる開花期を重複させてからみつけて栽培するといった、より交雑のしやすい条件のもとでも、遺伝子組み換えダイズとツルマメに自然交雑が生じる頻度が1,000分の1程度以下であることが示されました。通常の自然条件のもとではさらに可能性が低くなると考えられ、遺伝子組み換えダイズとツルマメが自然交雑する可能性は極めて低いことが明らかとなりました。
(独)農業環境技術研究所 遺伝子組み換え作物の栽培実験の報告について(平成17-19年)
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/gmo/houkoku05_07.html