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浙江大学(中国浙江省)、従来品種との共存に向け遺伝子組み換えイネを開発
浙江大学の研究チームでは、遺伝子組み換え作物が従来品種に意図せず混入することを防ぐ新たな手法の開発に成功しました。使用する除草剤の種類を変えることで遺伝子組み換え品種のみ、または従来品種のみを選択的に生育させることが可能になります。その成果は2008年3月19日付けで米科学誌PLoS ONEに掲載されました。
今回開発された遺伝子組み換えイネには、グリホサート(除草剤)に耐性を持たせる遺伝子を導入し、さらにベンタゾン(除草剤)の解毒酵素の合成を抑制する配列を導入することによりグリホサートの影響を受けにくく、ベンタゾンの影響を受けやすい遺伝子組み換えイネを作出しました。一方、従来品種のイネはグリホサートの影響を受けやすく、ベンタゾンには耐性があります。
2つの除草剤に対して、開発された遺伝子組み換えイネと従来品種とは反対の性質を持つため、従来品種のイネと遺伝子組み換えイネとの選択を、散布する除草剤の選択だけで簡単に行うことが可能です。
圃場試験の結果、通常使用される濃度のベンタゾンを散布すると従来品種のイネの生育には影響がないのに対し、今回開発された遺伝子組み換えイネは6日以内に完全に枯れることが確認されました。
研究チームではこの新しい手法のメリットについて、「信頼性が高く、安価で簡便である」と述べ、今後の遺伝子組み換え作物の普及に貢献するものと位置付けています。
PLoS ONE ホームページ
http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0001818