バイオテクノロジー関連資料
遺伝子組み換え作物を市場に投入するまでにかかる時間と費用の調査(2011年・クロップライフ・インターナショナル)
遺伝子組み換え作物を市場に投入するまでにかかる時間と費用が過去10年で著しく増加したことが
最新の調査で判明
2011年11月7日―過去10年間において新規の遺伝子組み換え作物が市場に投入されるまでにかかった時間は最大で13年超、費用は1億3600万ドルに上っていたことがクロップライフ・インターナショナルと世界的市場調査会社のフィリップス・マクドゥガル社による最新の調査によって明らかになりました。本調査は遺伝子組み換え作物の主要開発企業6社を対象に、開発から市場投入に至るまでのプロセスにかかる時間と費用を評価した初の調査です。本調査では、新規の遺伝子組み換え作物が研究室で開発され、市場投入を経て最終的に農家の畑で栽培されるまでにたどる長く複雑なプロセスについて分析を行いました。
フィリップス・マクドゥガル社によりますと、製品開発のスケジュールで最も時間と費用のかかるのは規制・承認段階であることが判明しました。また、新製品が規制当局の承認を得るまでにかかった時間は2002年以降、47%増加したことも明らかになりました。世界の食糧需要が増加傾向にあるなか、時間とコストが増加した結果、イノベーションのサイクルが遅れて、持続可能な方法で農家が生産性を大幅に改善するために必要な技術を手に入れることができなくなる恐れがあります。
クロップライフ・インターナショナルの植物バイオテクノロジー担当エクゼクティブディレクター、デニス・デュワーは「国連は先週、世界の人口が70億人に達したとの推計を発表しました。農家はますます、世界の食糧需要を満たし、食糧価格の乱高下を抑制するよう求められます」と述べました。デュワーはさらに、「この調査によって、イノベーションに対する潜在的なリスク、さらには待ち望まれる生産性の向上に役立つ新たな種子技術の利用に対する潜在的なリスクが明らかになりました。また、規制に関する費用や負担が増加傾向にあることから、公的機関や中小企業が実施している重要な研究にマイナスの影響が及ぶ可能性があります。植物バイオテクノロジー産業、は各国政府に対して、規制要件を再検討し、製品の安全性および効能を肯定する方法があるかどうかについて判断を示すよう求めています。植物バイオテクノロジー産業はまた、農家が適切な時期に新しい製品や農業用機器を入手することができるように努めています」と語っています。
調査によると、2002年以前には、企業は約4年をかけて政府と調整し、製品が規制要件を満たしていることを確認していました。遺伝子組み換え作物の栽培から15年が経過し、作付面積が30億エーカーを超えましたが、1件の事故も起きていません。しかし、企業は現在、環境上および安全上のあらゆる規制要件を満たすのに5年半以上を費やしています。 プレスリリースはこちら
規制のハードルが上がり、時間もかかるようになっているため、企業は開発プロセスにこれまで以上の資金を投入しています。2008年から2012年までの間に市場に導入された作物が実際に農家の畑に植えられるまでには約1億3600万ドルの費用と平均で13年という時間がかかるとみられています。
デュワーは「遺伝子組み換え種子は販売以来、世界の農業コミュニティーで640億ドルを超える付加価値を創出しています。その50%以上を享受しているのは発展途上国の農家です」と述べました。デュワーはさらに、「イノベーターが今後も耐乾燥性作物など新技術を開発して農家に利益をもたらすことができるように、各国政府は効率のよい規制制度を確立する必要があります。そうすれば、安全性を確保しながら、生産量の増加や農地および生活の改善につながる技術を合理的な方法で農家に提供することができます」とも語っています。
注記:
クロップライフ・インターナショナルは植物科学産業を代表する世界的連盟組織として、世界91カ国の地域別および国別の協会が形成するネットワークを支援しています。同組織にはBASF社、バイエル・クロップサイエンス社、ダウ・アグロサイエンス社、デュポン社、FMC社、モンサント社、住友化学、シンジェンタ社が参加しています。同組織は農薬やバイオテクノロジー製品について、その有益性や持続可能な農業や食糧生産に対する重要性、スチュワードシップによる責任ある使用を促進しています。
ファクトシート(日本語)のダウンロードはこちら(PDF)
英語原文のダウンロードはこちら(PDF)
本調査の詳細やダウンロードはこちらのサイト(http://www.croplife.org/PhillipsMcDougallStudy)をご覧ください。