高校生科学教育大賞

2025年開催の第9回高校生科学教育大賞は、最優秀賞に山形県置賜農業高等学校の「山形県の花『最上紅花』の遺伝子解析およびゲノム編集による新品種開発に関する研究~植物バイオテクノロジーを学ぶ高校生の挑戦~」が選ばれました。
バイテク情報普及会は、その活動費用として100万円を支援いたします。

バイテク情報普及会は、「第9回高校生科学教育大賞」の授賞校を決定致しましたので、その結果をお知らせいたします。

本年は全国各地の高等学校より、合計21件の応募を頂きました。小野 道之氏(筑波大学 生命環境系 准教授)、小泉 望氏(大阪公立大学大学院 農学研究科 教授)、小島 正美氏(食生活ジャーナリストの会・前代表)、高島 賢氏(農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 審査官)の外部委員及びバイテク情報普及会 会員企業から構成される選考委員会において、各校より提出された申請書類に基づき厳正な審査を重ねた結果、下記の高等学校を授賞校に選定し表彰するとともに、その活動を支援することを決定いたしました。

本年も多くの高等学校より、植物バイオテクノロジーや持続可能な農業への理解を深める、意欲的で優れた研究・活動計画をご応募頂きましたことを心よりお礼申し上げます。今後の皆さまの取り組みに、より一層の発展があることを期待しております。

バイテク情報普及会 第9回高校生科学教育大賞 授賞一覧

最優秀賞 (申請額満額の100万円を支援)

山形県立置賜農業高等学校(山形県川西町)
「山形県の花「最上紅花」の遺伝子解析およびゲノム編集による新品種開発に関する研究~植物バイオテクノロジーを学ぶ高校生の挑戦~」

選考理由:

  • 日本農業遺産に登録されている「最上紅花」を題材に、抗酸化成分カルタミンの増加や病害虫耐性の付与を目指してゲノム編集に取り組む意欲的な研究。伝統作物の改良に最先端のバイオ技術を導入し、新品種の創出を目指す姿勢は、まるでベンチャー企業のような挑戦精神を感じさせる。
  • 地域資源の活用や品種改良にとどまらず、加工食品の開発も視野に入れている点も高く評価できる。
  • 実験の様子を動画にまとめ、SNS等で発信するほか、遺伝子組換えやゲノム編集に関する情報を小中学生やメディアに向けて発信するアウトリーチ活動も計画しており、科学技術の社会的理解を促す取り組みとしても注目に値する。

企画概要書

特別優秀賞 (各校に活動費の一部として15万円を支援)※順不同

学校名 活動名 選考理由
大分県立大分舞鶴高等学校
(大分県大分市)

植物の防御応答遺伝子の発現解析から広げる生徒主体の中高生バイオテクノロジー講習会

  • 生徒が主体的にバイオテクノロジーを学び、その成果を中高生向け研修会で発信する優れたアウトリーチ活動。高校生自身が講師を務めることで、社会的受容の促進にもつながると期待される。
  • 廃棄パン酵母を活用し、植物の成長促進や病害ワクチンへの応用を目指す独自の発想も高く評価された。
兵庫県立農業高等学校
(兵庫県加古川市)

DNAマーカー技術を利用した酒米新品種の育成と実用化研究

  • DNAマーカー技術を用いて酒米「山田錦」の改良から日本酒醸造までを見据えた実用化への計画を立てた点が高く評価される。育種の本質に向き合い、品種登録を目指す計画的な取り組みは、高校生の柔軟な発想と探究心に富んでいる。
  • 研究機関との連携による実現性の高さや、普及の難しさに挑む姿勢にも将来性が感じられる、非常に優れた研究である。

優秀賞 (各校に活動費の一部として5万円を支援)※順不同

学校名 活動名 選考理由
津田学園高等学校
(三重県桑名市)

タデ藍栽培におけるインジカンの収量変動に及ぼす要因の解明

  • 藍染めの原料として知られるタデアイに含まれるインジカンの収量変動要因を探る本研究は、植物のストレス応答や食害耐性の可能性にも迫る学びの広がりを持った取り組みであり、大学と連携した高度な実験の実施に加え、地域とつながり多くの関係者が関わる継続的な活動としても高く評価された。
愛知県立安城農林高等学校
(愛知県安城市)

キンリョウヘンのもつニホンミツバチ誘引物質に関連する遺伝子配列の探索

  • ニホンミツバチ誘引物質の合成に関わる遺伝子配列の特定を目指す本研究は、高校生にとって難易度が高いものの意欲的な挑戦であり、RNAシークエンスやPCRなどの分子生物学的手法を取り入れ、計画的に取り組む姿勢が高く評価された。
広尾学園高等学校
(東京都港区)

大腸菌を用いたじゃばら由来ナリルチンの合成による抗アレルギー物質の生産

  • 遺伝子組み換え技術を用いて、花粉症に効果があるナリルチンの微生物による生合成に挑むという非常に意欲的な研究であり、さらに絵本やアプリを活用した教育・啓発活動も計画するなど、社会への発信力を備えた点も高く評価された。

バイテク情報普及会賞 (活動費の一部として4万円を支援)

学校名 活動名 選考理由
東京都立科学技術高等学校
(東京都江東区)
「DNAの抽出実験をモデルとした脱出ゲーム」の文化祭への出展
  • DNA抽出実験と脱出ゲームを組み合わせた斬新な発想が光る、高校生にも親しみやすいサイエンスコミュニケーション活動であり、文化祭という場を活用して、誰もが楽しみながら科学に触れられるよう工夫された点が秀逸である。

審査員特別賞 (1万円の図書券を進呈)※順不同

学校名 活動名
広島県立西条農業高等学校
(広島県東広島市)
雨や猛暑に負けない広島菜を!地域ブランド「広島菜漬」の再興プロジェクト!
大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎
(大阪府大阪市)
クマムシのGAPDHタンパク質はなぜ熱耐性をもつのか

(参考)2025年度 募集時のページ

(参考)過去の受賞校一覧

2025年 高校生科学教育大賞に関するお知らせ

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