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セミナー:2014年世界のバイテク/GM作物の商業栽培に関する最新状況
バイテク情報普及会は、2015年2月2日、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)名誉会長クライブ・ジェームズ博士とISAAA国際コーディネーター兼東南アジアセンター理事長のランディ・A・ホーティ博士の2人を講師に迎え、「2014年世界のバイテク/GM作物の商業栽培に関する最新状況」と題するセミナーを開催しました。
セミナーでは、最初にホーティ博士による「フィリピンにおけるバイテクトウモロコシの導入とインパクト」と題した講演が行われ、同国でのバイテクトウモロコシ(GMイエローコーン)の栽培面積は80万ヘクタールを越え、単位面積あたりの収量も着実に向上していること、2012年に始まったバイテクトウモロコシの韓国向け輸出は、2014年に1000トンを超えたことなどが報告されました。 また、バイテク作物が生産者に選ばれる主な理由は、高い収量が得られるから(83.4%)、害虫がつかないから(48.9%)などのほか、心の平安が得られるから(24.9%)という安心感も手伝っていると説明されました。
次に、ジェームズ博士により「世界のバイテク/GM作物の商業栽培に関する状況:2014年」と題した講演が行われ、バイテク作物は世界28ヵ国の生産者1,800万人によって栽培され、その面積は前年比で630万ヘクタール増加し、1億8,150万ヘクタールに達したと報告されました。また、2014年の特記事項として、米国における栽培面積が前年対比300万ヘクタール増と著しく伸長し、ダイズやトウモロコシ、ワタの全てでバイテク比率が上昇したこと、新たなバイテク作物として、アクリルアミド(潜在的な発がん性物質)の発生率が低く、傷みによる廃棄率が低いジャガイモやリグニン含量が低く消化率や収量性が向上したアルファルファが初めて承認されたことなどが説明されました。
また、今後の展望について、ジェームズ博士は、短期的にはわずかな成長にとどまるものの長期的には 潜在的な成長性は極めて高いとし、多くの発展途上国がバイテク作物の導入を検討していること、消費者に直接的ベネフィットのある食用製品(ジャガイモ、ナス、サトウキビ、マメ類など)の開発が進展していること、地球温暖化に向けた乾燥耐性作物の導入が進展する可能性が高いこと、 官民パートナーシップ(PPP)によるバイテク技術の導入が進んでいることなどが、その背景にあると指摘しました。
博士は、官民パートナーシップ(PPP)の成功例として、バングラデシュやブラジル、インドネシア、アフリカにおける取り組みを紹介するととともに、新たなバイテク技術の可能性についても触れ、世界の貧困を緩和し、益々増大する世界の人口に食料を供給するには、国のリーダーが勇気をもってバイテク技術の推進を図ることが重要であると述べ、「意思のある所には必ず道は開ける」との言葉をもって講演を終えました。
ジェームズ博士の講演後、日本バイオテクノロジー情報センター(ISAAA日本支部)代表の冨田房男氏による「日本における遺伝子組み換え作物・食品の受容度:北海道でのアンケート調査から」と題された講演と、バイテク情報普及会による「バイテク情報普及会の広報活動」の紹介が行われました。
ISAAAホームページ
http://www.isaaa.org/
講師略歴(PDF)
20150202_ISAAA_seminar_profile.pdf
ISAAA クライブ・ジェームズ博士
「世界のバイテク/GM作物の商業栽培に関する状況:2014年」PPT資料 参考(日本語・PDF)
ISAAA_B49-Slides-JPN.PDF
2014年バイテク/GM作物に関するファクト:TOP10(日本語・PDF)
ISAAA_B49_Top10_Facts_JPN.PDF
<参考ページ>
2014年世界の遺伝子組み換え作物 国別栽培状況
https://cbijapan.com/about_use/cultivation_situation/
2014年世界の遺伝子組み換え農作物の栽培状況(作物別・形質別)
https://cbijapan.com/news/991/
2014年世界の主要作物の遺伝子組み換え品種の割合
https://cbijapan.com/news/996/