イベント一覧

セミナー:2013年世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する最新状況

バイテク情報普及会は、2014年2月18日、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)名誉会長クライブ・ジェームズ博士とISAAA国際コーディネーター兼東南アジアセンター理事長のランディ・A・ホーティ博士の2人を講師に迎え、「2013年世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する最新状況」と題するセミナーを開催しました。

セミナーでは、最初にホーティ博士による「フィリピンにおける遺伝子組み換えトウモロコシのインパクト」と題した講演が行われ、同国での遺伝子組み換えトウモロコシの栽培面積並びに生産者の数は年々増加していること、遺伝子組み換え作物は、収量や収入の増加などの経済的ベネフィットのみならず、農薬散布の削減などにより環境的なベネフィットをもたらしていること、などについて説明されました。 生産者に遺伝子組み換えトウモロコシが受け入れられている理由として、ホーティ博士は、ライフスタイルの変化を実現できる高い収量や利益、生産コストの低減、また家族や社会活動への時間的余裕が得られることなどを挙げ、遺伝子組み換えトウモロコシのもたらすベネフィットを確信した農業生産者が、この技術の受容拡大の原動力となっていると指摘しました。

次に、ジェームズ博士により、「世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する状況:2013年」と題した講演が行われました。2013年の概況について、ジェームズ博士は、遺伝子組み換え作物を栽培した農業生産者の数が世界27ヵ国で1,800万人となり、栽培面積は新たな記録となる1億7,520万ヘクタールにまで達した。また、発展途上国(栽培27ヵ国中のうち19ヵ国)の栽培面積は2年連続で先進工業国のそれを凌駕、2013年にはその差が1,400万ヘクタールにも拡大したとし、今後の成長は発展途上国が主導してゆくとの見通しを示しました。

また、遺伝子組み換え作物が与えるインパクトについて、生産性や収入の向上、生物多様性の保全、農薬やCO2の削減による環境保全などを挙げ、アジアを中心とした小規模農業生産者1650万人以上の貧困の緩和に、遺伝子組み換え作物は大きく貢献していると指摘しました。

この他の動きとしては、2013年に初の乾燥耐性トウモロコシが米国で栽培開始となったこと、除草剤耐性と害虫抵抗性の2つの形質を掛け合わせたスタック・ダイズが初めてブラジルで承認されたことなどが説明され、今後については、乾燥耐性サトウキビやウイルス抵抗性マメ、ゴールデンライスなどの上市が見込まれるとの展望が示されました。

最後に、ジェームズ博士は、ノーベル賞受賞者で「緑の革命」を主導したノーマン・ボーローグ博士の言葉を引用し、「世界の人口の半分以上を占める国々で、バイオテクノロジーがもたらすベネフィットや安全性は証明されており、未だに古くて効果の薄い方法に頼らざるを得ない多くの農業生産者がいる国々のリーダーに勇気を持ってもらうことが必要である」として講演を終えました。

その後、日本バイオテクノロジー代表の冨田房男氏による「遺伝子組み換え作物の日本における現状」の講演と、バイテク情報普及会による「バイテク情報普及会の広報活動紹介」の発表が行われました。

ISAAAホームページ
Brief 46: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2013(英語)
http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/46/default.asp

講師略歴(PDF)
http://www.cbijapan.com/dl/report/20140228/speaker_profile.pdf

ISAAA クライブ・ジェームズ博士
「世界の遺伝子組み換え作物?商業栽培に 関する最新状況2013年」報告書
同上PPT資料 参考(日本語・PDF)
http://www.cbijapan.com/dl/report/20140228/Brief46slides_Japanese.pdf

2013年バイテク・遺伝子組み換え作物に関するファクト:TOP10(日本語・PDF)
http://www.cbijapan.com/dl/report/20140228/Brief46_Top10_Facts_Japanese.pdf

<参考ページ>
2013年世界の遺伝子組み換え作物 国別栽培状況
http://www.cbijapan.com/about_use/cultivation_situation/

2013年世界の遺伝子組み換え 作物別・形質別栽培状況
http://www.cbijapan.com//news/992/

Pagetop