GMO Answers

質問

質問者 Cascade Healthy Guy (オレゴン州、ベンド)

グリホサートや殺虫効果のある植物、その他の農薬などが及ぼす影響について、完全に独立した(バイテク企業とは関係がなく、支援や支配を受けていないような)研究室が長期試験を実施すれば、私たちのような懐疑的な人たちも信用するかもしれません。欧州の研究室が実施した長期的な分析は、あなたがたの行う試験は短すぎ、化学物質による最も深刻な病弊が発現する前に「終了」してしまうことを示唆しています。これらの事について説明をお願いできますか?

回答

 同じような心配をしている人は他にもいますし、つい最近、不正な研究例がひときわ注目を集めていたことから、ある科学的結果に対してあなたが懐疑的であったとしても不思議ではないと思います。このような経緯もあり、多くの人々は一体どのような研究を信じればよいのか、と戸惑っていることでしょう。ですが、この問いに応えるのはそう簡単ではない、とお答えするしかありません。

バイテク企業は、自社製品の試験研究を、限定あるいは操作している、と一般的に信じられていますが、これは事実に基づいてはいません。バイテク企業の技術開発者たちが行う試験は、試験計画や手順の多くが経済協力開発機構(OECD)のような国際的機関によって定められた規定や指針に基づいているため、改ざんする余地はほとんどありません。これらの試験手順は、GM作物の安全性確立に必要なデータの種類を評価した国際的な専門家たちによって、構築されたものなのです。

確かに、長い年月の間には例外もありましたし、それらが注目され、挑戦を受けるのは当然です。しかしながら、そのような事例は代表的でもありませんし、典型的でもありません。透明性を確保し、研究用種子の入手を可能にするため、2010年に、バイテク企業は米国種苗協会と協働して、特許形質をもつ種子に関する研究指針を作り上げました。モンサント社は、米国機関や米国農務省農業研究局の研究者が、教育や学外教育などのために、モンサント社の製品を用いて研究ができるようにしています。研究者は、モンサント社に何ら連絡する必要はありませんし、そのような義務もありません。とは言え、多くの研究者は連絡をしてこられますし、私たちも協力を惜しみませんが、決してそれを求めている訳ではありません。研究が終了しその結果が公表されれば、消費者は企業が助成した研究と独立した研究者による研究を比較することができます。様々な研究結果は、通常、それぞれの研究の有効性や相互の補強に役立ちますし、GM技術の安全性やベネフィットを裏打ちする証拠の積み上げにも貢献します。(独立した研究者が行ったGMOの科学研究をどこでみつけるか、という同様な質問への私の回答は、こちらをご覧ください:
http://gmoanswers.com/ask/i-learned-practical-experience-order-get-job-monsanto-or-do-any-research-supported-monsanto-or

ご質問には、GM作物の悪影響を報告した欧州の研究室による「より長期の分析」について書かれていますが、私にはジル-エリック・セラリーニ(Gilles-Eric Seralini)と彼のチームが行ったラット食餌試験のことが思い浮かびます。GMOの安全性を評価するにはより長期の研究が必要だ、というのが著者の結論の一つです。セラリーニの研究は、この問題を提起したものの、その研究自体は極めて設計が不十分で、発がん性の評価に広く用いられている指針に準拠しておらず、最終的にGMOの安全性を問うには不適切だと判断されました。これについてはバイオテクノロジーの専門家でカルフォルニア大学、リバーサイドのバイオテクノロジー専門家並びに遺伝学者あるアラン・マックフーゲン(Alan McHughen)(http://gmoanswers.com/ask/have-you-reviewed-study-showing-gmos-caused-cancer-lab-rats)や、「遺伝リテラシープロジェクト」の記事に記された数多くの専門家の見解(http://gmoanswers.com/studies/republished-seralini-gmo-rat-study)をご覧ください。

さて、あなたのご質問「GM作物の安全性評価に長期給餌試験は有効か」についてですが、この質問への回答は、パリ大学のアニェースE.リクロシュ(Agnès E. Ricroch)が、2013年にNew Biotechnologyに掲載した論文に書かれています。彼女はGMOが餌として与えられた17件の長期動物給餌試験報告と、16件の多世代動物試験報告を精査しました。その結果、異なる動物へのGM作物品種の給餌が、健康へ悪影響を及ぼした例は一件もありませんでした。彼女は、データからは「遺伝子組み換え作物品種に対して、更なる食品安全試験が必要だとする証拠は提供されなかった」と結論付けています。重要なことは、著者らが「90日間長期給餌試験を実施した結果、さらに合理的な疑いが認められる場合を除き、個別対応でそのような長期試験を行う必要はない」と述べていることです。この研究についての詳細は、免許薬剤師でUSファーマシスト誌の編集主幹であるハロルド・コーヘン(Harold Cohen)による回答をご覧ください(http://gmoanswers.com/ask/how-did-biotech-industry-decide-‘90-days’-would-be-norm-or-standard-time-frame-testing-and-how)。

何カ国かの規制当局は、GMOによる潜在的な予期せぬ効果を評価するための一環として、90日間ラット給餌試験を要求しています。これらの試験は、実質上、すべての承認済みGM作物に実施されており、GMOの摂取に起因する有害作用は一切ありませんでした。デュポン・パイオニア社の主任研究員であるブライアン・デラニー(Bryan Delaney)は、ラット給餌試験の90日という期間について、このように説明しています(http://gmoanswers.com/ask/i-read-gmo-crops-gain-market-approval-substantive-equivalents-standard-food-crops-90-day)。

以上を要約すれば、公的機関からは、GMOの安全性やベネフィットを立証する広範な情報がもたらされており、GM作物に関する既存の長期給餌試験や多世代給餌試験の結果からは、何らの悪影響も認められていないということです。あなたの質問は大変重要です。なぜなら、バイテク企業が健全な安全評価基準に沿ってGMOを開発しているのか否かについて、多くの人が危惧しているからです。最後に、植物遺伝学者、夫、父親、そしてセントルイスにいる親戚の隣人として、私は、GM作物からの食品が、その他の食品同様に安全であると自信を持って言えるように、消費者の皆さんに疑問を投げかけ、納得できる答えを要求し続けることをお勧めします。私自身もそのようにしていますし、皆さんもそうするべきだと思います。

回答者 エリック・ザックス博士

回答者

エリック・ザックス博士

Eric Sachs, Ph.D.

モンサント社、環境・社会・経済プラットフォーム・リーダー

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