回答

モデレーターによる注記：この回答はフェリシア・ストーラー博士の意見を参考に書かれています。

あなたの質問は、世界の様々な農業システムが直面する重要な問題について指摘しています。すなわち、2050年までに今よりも20億人増加すると推定され、益々日々の食事に肉や卵、乳製品を求めるようになる世界の人口を、どのように養うかという問題です。先人たちはより多くの作物を生産するために原野を切り拓いてきましたが、今や新たに開拓できる土地は殆どありませんし、農地の開拓が環境に悪影響を与えるということもわかってきました。このため、作物の生産量を増やすには、既にある農地の生産性を向上させることが、不可欠となっているのです。作物に病害虫抵抗性やストレス耐性、栄養特性強化などの形質を加える遺伝子組み換え技術は、今後数十年にわたり増加し続ける世界の人口に食糧を供給するという課題を解決する上で、役に立つ様々なテクノロジーを含んでいます。多くの農家は既に、現在入手可能なGM作物を取り入れることで、収量増を実現しています（Klumper&Qaim2013を参照）。現在GM作物の栽培が行われていない国々においても、今後取り入れられる可能性があるこれらのGM作物には、未だ実現されていない発展性が多分にあります。また、開発途上にあるGM技術も大いなる可能性を秘めています。

キャベツの収量が小麦やトウモロコシよりもはるかに高いのは、ご指摘の通りです。しかしながら、実際の消費量を比べてみますと、世界的には、キャベツよりもトウモロコシや小麦の方がより多く利用されています。トウモロコシや小麦は、そのままの状態でも食品として利用されますし、パンやシリアル、スナック菓子などの材料としても幅広く利用されています。トウモロコシも小麦も、文化を超えて、世界中の殆どすべての国や地域で消費されています。そして数多くの伝統的食文化の一部として欠かせない存在となっています。米国では、小麦粉製品には、製粉工程で取り除かれてしまう可能性のあるビタミンBが添加されています。トウモロコシや小麦は、安価であるのみならず、キャベツよりも長い期間保存することができます。キャベツにはビタミンKやビタミンCが豊富に含まれています。しかしながらキャベツは冷蔵保存する必要がありますし、食品としての用途に限りがあります。そして、食味が独特ですから世界中の誰もが好むとは言えません。

私たちは、今後も増え続ける世界人口のニーズを満たすために、多種多様な手段を取り入れていく必要があります。現在までのおよそ20年間にもたらされたベネフィットや安全に使用されてきた履歴を踏まえれば、世界の食糧供給問題を解決する手段の一つとして、GM作物を位置づけることは、妥当であると言えるでしょう。

モデレーターによる注記：現在、商業用に生産、もしくは市販されているGM小麦はありません。

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回答者

ジャネット・カーペンター

Janet Carpenter

E カーペンター・コンサルティング有限会社のオーナー、農業・資源経済学修士

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