GMO Answers

質問

質問者 DanyellaG (カリフォルニア州、ロサンゼルス)

科学者たちは、未だDNAのすべてを理解しているわけではないのに、あなた方は、本当に確信をもって、数十億年に渡る生命の進化を理解していると言えるのですか?本音を聞かせてください。あなた方は自分たちがいつも正しいわけではないと認めています。だとすれば、商業利用を許可する機関がどこであるかに関わらず、GMOは明らかに開発の初期段階にあるのではないでしょうか?

回答

どのようなテーマに関らず、すべてを理解したと言う科学者はいないでしょう。しかし、DNAとその機能についていえば、何十年間にわたる研究を通して、私たちは著しく多くのことを学んできました。科学者たちが遺伝子組み換えの実験を開始したのは1972年頃からです。この分野の研究者は拡大を続け、1975年までに、彼らは自発的に「アシロマ会議(Asilomar Conference)」を招集し、遺伝子組み換えの実験研究に関する極めて慎重なガイドラインと規制事項を取り纏め、自らに課しました。これらのガイドラインや規制事項は、研究が進み知識が集積されるにつれ、時間をかけて僅かに緩和されました。

実験室におけるDNAの意図的な操作やその効果を確認する技術の進歩により、私たちの知識と理解は極めて急速に深まりました。1980年代になると、世界中で何千人もの科学者がこの分野の研究に携わるようになり、研究結果の共有が進みました。DNA研究は、医療やバイオ産業などを含め、様々な学問や産業分野において素晴らしい応用が期待できるため、この種の研究を促進するためのツールや設備の開発には、巨額な投資が行われました。これにより、新たな知識の集積は益々容易になりました。一例を挙げれば、DNAシークエンシング(塩基配列決定)にかかる費用は、コンピューター・データの保存コストが低下する率に比べ、はるかに急激に低下しました。

植物バイオテクノロジーの分野は、この様な官民双方による分子遺伝学への巨額な投資により、恩恵を受けてきましたが、その取り組みには(前述のような)慎重な姿勢が取られました。いくつもの会議が(そのような慎重な姿勢の下に)開催されましたが、中でも特に印象的であったのは、私自身も参加した1988年のカリフォルニア州立大学デービス校での会議です。「農業バイオテクノロジーにおけるリスクアセスメント」と題されたこの会議は、学術研究者たちが主催したもので、規制(承認)機関や大小のバイテク企業から、多数の科学者が参加しました。また、分子生物学者のみならず、農学者や微生物学者、生態学者、社会科学者、農業経済学者を含む幅広い分野の専門家たちも参加し、関連するあらゆる課題について非常にオープンで公平な議論が行われました。この会議は、バイオテクノロジーの規制に向け、植物育種の世界で初めて、3つの機関が関わる規制(承認)プロセスを導入することを柱に、構築途上にあった「協調的枠組(Coordinated Framework)」に対し、更なる視点をもたらすことになりました。この会議が開催されたのは、GMOの本格的な商業利用が始まる8年以上も前のことです。

40年以上にわたり研究が続いている科学は、もはや「開発の初期段階にある」とは言えません。知識の集積スピードが加速度的に上昇していることを考慮すれば尚更です。それゆえに、世界中の有力な学術団体が、「この技術について特別な危険性を認める理由は見当たらない-特に(この技術は)極めて厳しい規制監視の元で使用されている」、と支持し続けているのです。私が知る限り、これほど慎重に上市され、これほど優秀な実績を残している新技術は、他にはありません。もちろん、私たちは、何十億年もの進化の過程で何が起こってきたのかについて多くのことを知っています。何故なら、進化の物語はあらゆる生命体のDNAの中に秘められており、読み解くことができるからです。

回答者 スティーブ・サヴェージ

回答者

スティーブ・サヴェージ

Steve Savage

サベージ&アソシエイツ社、コンサルタント

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