GMO Answers
質問
自分の食生活から遺伝子組み換え食品を排除してからは、うっかり遺伝子組み換え食品を食べてしまった時には直観で分かるようになりました。独特な「気だるい感じ」がするのです。その昔、人類は金を採取するために水銀を利用していました。それ以上の知識がなかったからです。生命は複雑です。私たちは、生命と結びついて生きています。抑制しようとすると、突然変異の抵抗性雑草が現れます。あなた方は、世界における自分たちの立場をどのように考えているのでしょうか?
回答
質問からすると、あなたは私たちのように遺伝子組み換え作物の研究や開発に一生を捧げてきた人たちの意図や自覚について懐疑的であるようです。私の個人的な経験を基に、質問にお答えしたいと思います。
私はアーカンソー州南東のデュマスという小さな農場で育ちました。私の祖父、叔父そして従兄弟たちは、今でもそうですが、農家でした。毎年夏になると私はワタ畑に出ていました。いつ農薬を散布すべきかを判断するために害虫の発生具合を偵察していたのです。害虫の発生がひどければ、農家は一週間に2回あるいはそれ以上殺虫剤を散布していました。私は大学進学のためデュマスを離れ、最終的には、微生物学の分野で博士号をとることとなりました。
大学卒業後、バイテク業界に就職しました。 ちょうどBtワタがUSDAの規制プロセスで検討されていたとき、私は、家族から、いつその製品が手に入るのかと何度も聞かれたのを覚えています。そのような製品が出れば、農薬の散布を減らすことができ、家族や農場で働く人たちへの殺虫剤の暴露も少なくて済むからです。
この製品は、世の中における私自身の存在意義を考える上で、大きな影響を及ぼしました。すなわち、私の存在意義は、家族や他の農家を助けるためのツールを提供することなのだと自覚したのです。モンサント社に応募したのは、科学を適切に活用することが、雑草や病虫害の防除など農業の課題を解決するために、最も有効だと確信したからです。
私は17年間モンサント社に勤めていますが、1980年代の私の経験と比較すれば、農業における進歩は驚くべきものがあります。遺伝子組み換え作物を利用することが出来なければ、農家は、いまも雑草や病害虫を防除し続けていたでしょう。多くの人々にとって、それは、農業を辞めるか、昔のように一週間に2-3回農薬を散布するかを選択せねばならないことを意味します。
今年のクリスマス休暇中に、私は叔父と、遺伝子組み換え作物に反対する活動家について話をしました。叔父は、遺伝子組み換え技術を用いた食品よりも、何度も農薬が散布された食品を食べたがるのはなぜだろうかと、質問してきました。彼のように、遺伝子組み換え作物であるなしに関わらず、農業に携わったことのある人にとっては、理解できないことなのです。私も同感です。私にとって技術は答えであり、問題ではありません。
回答者 キース・レディング博士回答者
キース・レディング博士
Keith Reding,Ph.D.
モンサント社、バイテク規制ポリシー部門、リーダー
回答
あなたの質問にある通り、生命は複雑なものです。「直観による食事」が話題にのぼるようになったのは、人々は何を食べるか、どれだけ食べるか、いつ食べるか、そしていつ食べ終えるのかを常に意識している、という概念が生まれてからです。それは食品や食品摂取についての心理で、様々な個人的信念や人々の哲学に包まれています。
一人の農家、母親、消費者、そして登録栄養士として、同じように直観で食べていますが、遺伝子組み換え食品を食べたときに、そのような「気だるさ」を感じたことは一度もありません。 私たちは、遺伝子組み換え作物とそうでない作物の、両方を栽培しています。私の家族は、私たちが栽培する作物を食べ、農場で暮らし、そして、私たち家族が経営する農場が次世代に引き継がれるよう、農地と資源の管理には最大の敬意をもって臨んでいます。
ただ、あなたの質問にお答えするために、いくつかお聞きしておかねばなりません。― 具体的にどのような遺伝子組み換え食品を食べた時に「気だるさ」を感じるのでしょうか?体のだるさですか?それとも気分的なだるさですか?体のどこに最も「だるさ」を感じるのでしょう。例えば胃や腸でしょうか?「だるさ」を感じる理由は、食事や遺伝子組み換えであるなしに関わらず、貧血症や低血糖、甲状腺機能低下症、うつ病など、健康上の理由によることも多々あります。
遺伝子組み換え食品に含まれるタンパク質は「新たな種類」ではありませんので、私たちが、このような「気だるさ」を感じるとすれば、どのような農法から生産される食品(一般的な食品やオーガニック食品、遺伝子組み換え食品)であれ、食べたときに感じことになるでしょう。最も分り易い例が「Bt」でしょう。「Bt」は土壌中に生息する細菌で、特定の虫に毒性を示すタンパク質を含んでいます。「Bt」がもつ殺虫活性は、100年以上も前から知られており、有機農業に利用されてきました。一般の農家でも使用されており、そのタンパク質は、トウモロコシやワタをアワノメイガやネクイハムシ、ワタミゾウムシからの加害から保護しているのです。「Bt」は哺乳類に対しては毒性がなく、また体内の消化プロセスで生き残ることができないことは、良く知られています。有機農業や一般的農業の両方で散布されており、土壌中には普遍的に存在しています、あなたがおっしゃるように「生命と結びついて」おり、よって私たちの身体とも結びついています。
「突然変異の抵抗性雑草」についてですが、雑草の抵抗性というのは農学的な問題であり、遺伝子組み換えに関わる問題ではありません。 私のブログ、「農業に関する、厄介な言葉トップ10」(http://thefoodiefarmer.blogspot.com/2013/11/top-10-annoying-words-about-agriculture.html),
で指摘していますが、「除草剤抵抗性雑草の国際調査によると、除草剤抵抗性は遺伝子組み換え作物が市場に出る遥か前から起こっていました。一般に遺伝子組み換え作物となじみの深いラウンドアップという除草剤は、第6位で、抵抗性雑草が認められている除草剤は、その上位に5つもあるのです」。
農業を営む家族は、自分たちが世界のどこに位置するのか、直観的にわかっていると思います。何故なら、私たちは、農地や土壌、そして私たちが栽培する作物を消費する人々の恩恵に、頼っているからです。
回答者 ジェニファー・シュミット回答者
ジェニファー・シュミット
Jennifer Schmidt
メリーランド州の農家で登録栄養士