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タバコのニコチン輸送体遺伝子を世界で初めて発見

京都大学の矢崎一史氏らは、タバコの葉におけるニコチンの蓄積に関わる輸送体(トランスポーター)遺伝子Nt‐JAT1を世界で初めて発見しました。この成果は、「米国科学アカデミー紀要」電子版に掲載されました。

ニコチンは、タバコ属植物に含まれるアルカロイド化合物の1種です。アルカロイド化合物には毒性があり、植物が外敵(虫やその他の動物など)から身を守る防御手段になります。これまでに、1万種類以上が発見されていますが、その中でもニコチンは毒性が特に強いものとして知られています。その一方で、ガンやその他の疾病の治療薬として用いられているアルカロイド化合物もあります。

以前から、タバコは根でニコチンを生産し、葉の液胞で蓄積することが知られていましたが、今回の研究で、Nt‐JAT1はアルカロイド化合物を認識して、液胞に蓄積し、輸送する能力があることが明らかになり、世界で初めて遺伝子レベルでニコチン蓄積の仕組みの一端を解明しました。

今後の展開として、Nt‐JAT1の働きを制御することにより、ニコチンを含まないタバコを開発できる可能性があります。また、Nt‐JAT1は、ニコチン以外のアルカロイド化合物も運ぶことができるため、抗ガン剤として用いられているアルカロイド化合物の高効率な蓄積・生産に応用されることが期待されます。

詳細は下記のアドレスをご参照ください
京都大学ホームページ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2008/090120_1.htm

米国科学アカデミー紀要電子版
http://www.pnas.org/content/early/2009/01/23/0812512106.abstract

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