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FAOレポート 発展途上国では充実したバイテクのプログラムを展開

FAO(国連食糧農業機関)は5月6日、発展途上国における遺伝子組み換え農作物の研究状況に関するレポートを発表しました。それによると、食糧安全保障により即した、充実した遺伝子組み換え作物の研究が進行中であることがうかがえます。

発展途上国で盛んな遺伝子組み換え農作物の研究
 FAOは発展途上国における遺伝子組み換え農作物の研究と活用状況について、バイオテクノロジーを活用した最前線の研究に取り組んでいる国が数ヵ国あり、研究する能力は高水準にあると評価を出しています。
 また、遺伝子組み換え農作物および非遺伝子組み換え作物の両方を対象にしたFAOデータベース(FAO-BioDeC)の情報を見直した結果、発展途上国は近い将来、塩害や旱ばつなどの環境ストレスに強いイネや、抗ウイルス性のパパイヤ、サツマイモおよびキャッサバなどの新しい遺伝子組み換え農作物が開発される可能性があることも示唆しています。

食料供給の確保に貢献する研究が進行中
 現在、市販されている遺伝子組み換え農作物は主に、ワタ、大豆およびトウモロコシなどで、除草剤耐性や害虫抵抗性などの性質を持つものです。
 FAOによると発展途上国では、このような国で一般の人が食糧として利用するバナナ、キャッサバ、カウピー(マメ科)、オオバコ、イネおよびソルガムといった広範な作物を対象に、食料供給の確保につながるような食糧安全保障により即した研究が進められています。
 先陣を切っている国はアルゼンチン共和国、ブラジル、中国、キューバ、エジプト、インド、メキシコおよび南アフリカです。第二陣の国々では、数は少ないものの、重要な分野で中規模の農業バイオテクノロジー・プログラムに取り組んでいると報告されています。
「発展途上国での研究活動が食糧安全保障にとって重要な問題に一層取り組んでいくことを願っています」とFAOの研究・技術開発サービスのアンドレア・ソンニーノ氏は述べています。

今後の課題と遺伝子組み換え技術の活用の方向性
 一方、大きな損害をもたらしている線虫などの植物寄生虫などについては、報告されている研究がないことや、アフリカ、東ヨーロッパ、ラテンアメリカおよび中近東の多くの国々が遺伝子組み換え技術の利益を十分に享受できるようになるには、バイオセイフティーに関する能力向上が必要であることを今後の課題としてレポートでは指摘しています。
また、既に活用されている非遺伝子組み換えバイオテクノロジーの影響力を評価することによって、あらゆるバイオテクノロジーを幅広く効率的に活用できる方向に導けるのではないかとしています。

国連ホームページ
http://www.un.org/News/Press/docs/2005/sag358.doc.htm

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