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「自然からの解放あるいは束縛?過度な予防措置のコストとインパクト」、フランスのシンクタンクが報告書を公表

フランスの独立非営利の研究教育組織Institut ´economique Molinari(IEM)は、この程、新たな科学技術は完全ではないものの、極めて大きなベネフィットをもたらすとし、「自然からの解放あるいは束縛?過度な予防措置のコストとインパクト」というタイトルの報告書を公表しました。

報告書は、「多くの人々は遺伝子技術が医療の分野で大きなベネフィットをもたらすことを理解している一方、この技術を農業に応用することについてはあまり乗り気ではない。しかしながら、新技術の活用によって本当のベネフィットがもたらされ、農業が進歩することは確実であり、技術の活用における停滞や過剰な規制の代償は極めて大きい」、と指摘しています。

報告書には、農作物が常に、害虫や害獣、病気、雑草、自然災害、栄養不足などのストレスにさらされていること、農家は長年にわたり、化学(肥料、農薬)や育種、管理技術などを駆使し、これらのストレスから農作物を保護してきたこと、農薬や遺伝子組み換え作物は、農作物をストレスから保護する手段の一つであり、社会的・環境的な恩恵をもたらしていること、などについて根拠となる数値とともに解説されています。

また、近年、新しい技術に対する恐れにより、農薬や遺伝子組み換え作物の規制が過剰となり、審査に遅れが生じているだけでなく、コストも極めて高騰していることにも触れ、次のように述べています。

「『予防原則』の中では、生じうる害について確実に分かっていなければ、どんなイノベーションも許されない。しかしながら、現実には、無害な農薬があるわけではなく、害の少ない農薬の使用法があるだけである。したがって、害を生じる可能性のあるものは絶対に何も認めないというのは、公共政策の指針としては粗末である。」、また、「どんなイノベーションにも完璧はあり得ないとはいえ、我々はそのイノベーションが既存のものよりも問題が少ないかどうかに関心を払うべきだ。一方、理にかなって見える『ノーリスク』予防原則に固執すると、農薬やバイオテクノロジーなどの、より優れた害の少ないものであっても、禁止されることになる。その結果、社会的にも、環境的にも、そして経済的にも、過大なコストとなって跳ね返ってくるのだ。」

この報告の詳細は以下のサイトでご覧ください。

Hiroko Shimizu氏による報告書「Liberated from Nature or Shackled by It? The Costs and Impacts of Excessive Precaution」(英語):
http://www.institutmolinari.org/IMG/pdf/note1113_en.pdf

The Institut ´economique Molinari (IEM)のサイト(英語・フランス語):
http://www.institutmolinari.org/

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