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コーデックス委員会 遺伝子組み換え食品表示の議論が次のステップへ

 国際的な政府間機関として国際食品規格の策定を行っている、コーデックス委員会の第34回総会が2011年7月、 スイス(ジュネーブ)で開催されました。この中で、下部組織である食品表示部会(CCFL)で長年にわたって検討が行われてきた遺伝子組み換え食品の議論について合意がまとめられ、次のステップ(ステップ6)に進められることになりました。

 コーデックスでは、遺伝子組み換え食品の表示検討作業を、これまで20年ちかくにわたって食品表示部会で行わってきました。これまでは、表示が必要とする意見と不必要とする意見がぶつかり、なかなかまとまりませんでした。2009年に開催された第37回部会においては、本作業は中止されるべきと一部の国が主張する一方で、表示ガイドラインが必要とする国の意見が分かれ、作業が継続されることにりました。翌年の第38回では、検討作業を継続するか、それとも中止するかという議題自体の存続に係わる議論となりました。その後も議論が重ねられ、合意形成を目指して2011年5月に開催された第39回CCFL(ケベック)でようやく合意がまとまり、このほど開催された第34回Codex総会に提案されました。

 CCFLの第39回会議においてまとめられた提言案は、APPENDIX III「PROPOSED DRAFT COMPILATION OF CODEX TEXTS RELEVANT TO LABELLING OF FOODS DERIVED FROM MODERN BIOTECHNOLOGY」として一枚のペーパーに提言案をまとめられています。
(第39回CCFL議事録に掲載 ftp://ftp.fao.org/codex/Reports_2011/REP11_FLe.pdf

 このペーパーの位置づけは、コーデックスの表示のために、独立した文書扱いとして提言がまとめられたもので、表示のためのガイドラインやコーデックス規格にまで至ったものではありません。提言案の題名は「モダンバイオテクノロジー応用食品に対応するコーデックステキストの編纂の提言案」となっており、「目的」及び「考慮すべきこと」の項目に加え、GM食品表示にも適用できると考えられた既存のCodexの規定のうちから10項目をリストアップしたものとなっています。

 この中で「考慮すべきこと」として「遺伝子組み換え食品に関する表示は各国によって異なるアプローチとなっており、コーデックスメンバーによるどのアプローチにおいても、既存のコーデックスにおける遺伝子組み換え食品の対策に沿ったものでなければならない。この文書は遺伝子組み換え食品がその生産方法を理由に、他の食品と異なっていることを想起させることを目指しているわけではない」として、まとめられました。

 この文書のとおり、これまで遺伝子組み換え食品表示は各国の裁量にまかされており、今後もその取り扱いは従来と変わることはありません。これまでの議論は、遺伝子組み換え食品の国際的な表示規格の統一は困難であることを物語っています。現在総会に諮られたのは、ステップ5/8としてまとめられたものですが、今後も議論は継続されることになります。

*コーデックス委員会とは
 消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っています。我が国は1966年より加盟しています。
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/codex/index.html

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