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岡山大学ら 大麦で食物繊維合成の鍵となる遺伝子を同定
岡山大学と農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所の研究グループは、大麦中で水溶性食物繊維の主成分β‐グルカンの合成の鍵となる遺伝子を世界で初めて同定しました。
本研究では、まず既存の大麦品種にβ‐グルカンが含まれない突然変異系統を発見しました。その後、この系統を遺伝分析したところ、特定の遺伝子の異常とβ‐グルカン欠失の表現型が完全に一致しており、この遺伝子がβ‐グルカンの合成に働いていることが明らかになりました。
β‐グルカンには、血中コレステロールの低減や血糖値上昇の抑制といった効果があり、大麦を摂取することで、健康増進が期待されています。一方で、家畜が大麦を摂取すると、β‐グルカンは消化を妨げてしまいます。また、β‐グルカンが多量に含まれると、ビール醸造の濾過に時間がかかる、濁りが発生するといった問題も起こるとされています。
今回発見されたβ‐グルカン欠失の突然変異系統は、消化が良く栄養価の高い飼料やビール醸造に適した大麦品種の育成への利用が期待されます。また、β‐グルカンを含まず、食物繊維をあまり含まない他の作物に、β‐グルカンの合成に働く遺伝子を組み込むことで、食物繊維を生成させることができるようになるかもしれません。
岡山大学プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/jp/press/data/210317/shiryou2.pdf