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セミナー:2017年世界の遺伝子組み換え作物の商業栽培に関する最新状況

バイテク情報普及会は2018年8月23日、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のロードラ・ロメロ・アルデミタ博士と日本バイオテクノロジー情報センターの冨田房男氏の2人を講師に迎え、「2017年世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する最新状況」と題するセミナーを開催しました。

アルデミタ博士による講演「世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する最新状況」は、2017年は世界24ヵ国で遺伝子組換え作物が栽培され、その栽培面積の53%が開発途上国、47%が先進工業国によるものであったと報告されました。2017年の世界の遺伝子組換え作物の栽培面積は前年から3%増加し、過去最高となる1億8,980万ヘクタールにまで達しました。
また、2017年に登場した切り口が変色しないリンゴやジャガイモ、ピンク色のパイナップル、害虫抵抗性のナスなどの新しい遺伝子組換え作物が紹介されました。

アルデミタ博士は遺伝子組換え作物の栽培によるメリットとして、生産性や収入の向上、生物多様性の保全、農薬やCO2の削減による環境保全などを挙げました。2017年にはアジアを中心とした小規模農業生産者とその家族6,500万人以上に利益をもたらすなど、遺伝子組換え作物の栽培は貧困の緩和に大きく役立っていると述べました。また、2050年までに50%の増加が予想される世界の食料需要を満たすには、遺伝子組換え作物をはじめとしたバイオテクノロジー技術が引き続き重要であることを強調しました。

次に、日本バイオテクノロジー情報センターの代表で、ISAAAの日本代表でもある冨田房男氏の「遺伝子組換え作物をめぐる我が国の動向」と題した講演が行われました。北海道で遺伝子組換えテンサイ品種の栽培を実施した場合、従来品種より労働費や薬剤費などの栽培コストが低減されるとの試算が紹介され、冨田氏は北海道の農業を例に、「農業生産者の植える作物を選ぶ権利を尊重し、また様々な農業方式の共存を認めるべきである」と述べ、講演を終えました。

<参考ページ>
国際アグリバイオ事業団(ISAAA)ホームページ

Brief 53: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2017
遺伝子組換え作物の商業栽培に関する年次報告書(Brief53):2017年(英語)
http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/53/default.asp

2018年6月26日 国際アグリバイオ事業団プレスリリース
「遺伝子組換え作物の導入が世界中の農業者と一般の人々に持続可能性と社会経済機会の更なる拡大をもたらす」(日本語訳・PDF)
http://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/53/pressrelease/pdf/B53-PressRelease-Japanese.pdf

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