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もしヨーロッパで遺伝子組み換え農作物が栽培されたら?大きな効果が期待(NCFAP)

食糧・農業政策ナショナルセンター(NCFAP)は、遺伝子組み換え農作物がヨーロッパで栽培されれば、収穫量や農家の収入が増加するであろうという研究結果を公表しました。
それによると、害虫に強いトウモロコシ、除草剤の影響を受けないテンサイおよびカビに強いジャガイモの3タイプの遺伝子組み換え農作物の利用により、現状と比較して1年間に収穫量は781万トン増加し、農場の収入は10億ユーロ(約1,370億円)以上の増加、農薬の使用量は9,774トン減少するとされています。

現在、ヨーロッパでは、スペインのみで害虫に強いトウモロコシの小規模な商業栽培が行われています。欧州共同体とヨーロッパの国々は、新しい遺伝子組み換え農作物の認可を凍結しています。

FCFAPは、ヨーロッパにおいて、害虫に強いトウモロコシが4ヶ国で、除草剤の影響を受けないテンサイが8ヶ国、カビに強いジャガイモが12ヶ国で栽培されたと仮定して、国ごとに農薬の使用量や収穫量、生産者の収入を想定し、結果の推定を行い、遺伝子組み換え農作物の栽培がもたらす効果を算出しました。

ヨーロッパ全体で、3タイプの遺伝子組み換え農作物を、それぞれ100万ヘクタール以上栽培すると仮定して、作物別に見ると、3タイプのうち、最も収穫量を増加させるのは除草剤の影響を受けないテンサイで、505万トンの増収が予測できます。
また、カビに強いジャガイモの導入により、農家の実収入は4億1,700万ユーロ(約573億円)増加すると予測しています。

国別にみると、遺伝子組み換え農作物の栽培による経済効果が特に高いのはフランスとドイツで、それぞれの国の農家は実収入で2億ユーロ以上の増収になると推定されています。

遺伝子組み換え農作物がヨーロッパで商業化された場合の効果について、各国での個別の研究はありますが、ヨーロッパの国々全体をカバーする研究はこれまでされていませんでした。NCFAPのプログラムディレクターであるLeonard Gianessiは、「ヨーロッパにおける潜在的効果について、これまで数値化されていませんでした。これは、バイオテクノロジーがヨーロッパにどれほど効果をもたらすことができるのかを明らかにする最初の研究です」と述べています。

NCFAPは、ワシントンを基盤とする非営利の研究組織で、2002年には米国におけるバイオテクノロジーの現状と潜在的効果について検討し、研究結果を発表しました。
今回の研究はモンサント社、シンジェンタ社とBIOからファンドの提供を受けて、ヨーロッパの農業にもたらす潜在的効果を見積もることを目的として、米国の研究で使用した方法論(www.ncfap.orgで入手できます)と同様の手法を採用し、ヨーロッパの研究者と連携して行われました。

今回公表された3タイプの遺伝子組み換え農作物の他に、除草剤の影響を受けないナタネ、害虫に強いワタやコメなど12タイプの遺伝子組み換え農作物についても研究しており、2004年6月に最終報告書としてまとめられる予定です

農作物
栽培面積
(ヘクタール)
農薬使用量
(トン)
収穫量
(トン)
収入
(万ユーロ)
害虫に強い
トウモロコシ
1,599,000
-53
+1,899,000
+24,900
除草剤の影響を
受けないテンサイ
1,688,000
-2,208
+5,050,000
+39,000
カビに強い
ジャガイモ
1,164,000
-7,513
+858,000
+41,700
合計
4,451,000
-9,774
+7,807,000
+105,600

詳細は、NCFAPホームページをご参照下さい
http://www.ncfap.org/

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