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IRRI、効率的にリンの吸収を促進するイネの遺伝子を発見

 国際イネ究所(IRRI)は2012年8月、リン酸が不足している土壌でも効率的にリン酸の吸収を促進するイネの遺伝子(PSTOL1)を同定し、その機能を明らかにしたと発表しました。この遺伝子を持つイネを栽培すれば、農家のコメの生産量はリン酸が不足している土壌においても20%近くも増加する見込みとなりました。

 PSTOL1はイネの根数を増加させ、1株当たりの根の表面積を増やすことによって、リン酸の吸収量を増やす働きを持つ遺伝子です。その吸収量の増加率は約50%にもなります。
 コメ農家では一般に、リン酸が不足している土壌にリン酸の入った肥料を施してコメを栽培します。しかし、土壌の性質によっては、リン酸が土壌中に固定されてしまい、作物に吸収されにくいという問題がありました。しかも、リン酸の入った肥料はコストが高くなり、簡単に使えるものではなかったのです。また、リン酸自体リサイクルができない天然資源であり、採掘しようにも、リン鉱石は枯渇しつつあるといわれています。そのため、土壌中のリン酸を効率的に吸収させ、生産量を高めることが求められています。

 今回発見された遺伝子を組み込むことで、コメ農家ではリン酸が不足している土壌でもリン酸の入った肥料を使うことなくコメを栽培することができるようになると、期待が寄せられています。

研究成果は、IRRIによって、2012年8月22日に発表されました。
http://irri.org/index.php?option=com_k2&view=item&id=12275:underground-solution-to-starving-rice-plants&lang=en

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