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バイオテクノロジーによる小規模農家の課題克服に向けて(国連報告書より)

2013年10月、国際連合食糧農業機関(FAO)は、農業分野におけるバイオテクノロジー技術に関する報告書「Biotechnologies at Work for Smallholders: Case Studies from Developing Countries in Crops, Livestock and Fish」を公表しました。
この報告書は、「バイオテクノロジーは小規模農家の生活や食糧安保の向上に寄与する」と述べており、途上国の小規模農家にもバイオテクノロジー技術の恩恵がもたらされるよう、国内外の尽力を求めています。

また、同報告書では、世界中の研究者により執筆された作物、家畜、水産資源に関する19のバイオテクノロジー技術のケーススタディが紹介されており、人工授精や発酵技術のような昔ながらの伝統的な手法から、DNA解析を用いた最近の技術までを幅広く取り上げています。

なかでも、作物分野では、バナナ、キャッサバ、イネなどのバイオテクノロジー研究や途上国各地での小規模農家への技術の適用事例が掲載されており、DNAマーカー選抜法により開発された冠水耐性(洪水の影響を受けにくい)イネ品種Swarna-Sub1が、2009年の商業栽培の開始以降、急速に普及し、2012年には300万の農家によって栽培されたことなどを例として紹介しています。IRRIのUma Singh氏らは、冠水耐性イネ品種について、「洪水被害の深刻な地域において、収量安定や増産の機会を提供し、食糧安保に大きく貢献した」と述べています。

また、報告書の著者らは「バイオテクノロジーは収量の向上と市場アクセスの改善によって生活に関わる作物、家畜、水産資源の向上に寄与し、家族経営の農家がバイオテクノロジー技術の恩恵を利用できることにより、生産コストの削減や天然資源の持続的保持の向上にもつながる」と述べています。
FAOは、この報告書の内容を受けて、バイオテクノロジー技術を途上国の小規模農家へ適用するためには、国家を超えての遺伝資源、技術及びノウハウの共有、国内外のパートナーシップが不可欠であると結論しています。

詳細は以下のサイトをご覧下さい。

FAOのリリース(英文)
http://www.fao.org/news/story/en/item/202820/icode/

報告書のダウンロード(英文)
http://www.fao.org/docrep/018/i3403e/i3403e00.htm

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