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植物バイテクをめぐる日本の研究成果:東京大学大学院農学生命科学研究科 カリウムイオン輸送体による植物の生長と乾燥ストレス応答の新規調節機構の発見

東京大学大学院農学生命科学研究科は、植物の生長と乾燥ストレスへの耐性の両方を調節している細胞内外のカリウムイオンの運搬に働く輸送体を発見したと発表しました。この研究は、理化学研究所との共同で行われたもので、同研究グループは、植物ホルモンアブシジン酸のシグナル伝達経路を介して制御されるカリウムイオン輸送体が、植物の乾燥ストレス耐性をコントロールしていることを初めて明らかにしました。

土壌の水分条件をどのように感知して応答するかは、植物の生存や生産性に大きく影響するために、その機構を明らかにすることは大変重要です。同研究グループは、細胞の膨圧の制御を行うカリウムイオンに着目し、カリウムイオン輸送体によって、乾燥ストレス下の植物の細胞の水分状態がどのように調節されるかを調べました。その結果、乾燥ストレス下ではカリウムイオン輸送体KUP6ファミリー遺伝子群の発現が高まり、カリウムイオン輸送が調節されることで植物の生長が制御されること、また、カリウムイオン輸送体KUP6ファミリー遺伝子は、乾燥ストレス下で根における水分状態や気孔の開閉を制御する新しい因子であることが明らかになりました。

今後さらに研究が進展すれば、カリウムイオン輸送の調節により、環境悪化に対応した作物の育種につながると期待されます。

この研究の成果は、2013年2月に米国の科学雑誌「The Plant Cell」の電子版に先行掲載されました。以下のリンク先を参照ください。

【東京大学大学院農学生命科学研究科のプレスリリース】
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20130419-1.html

【The Plant Cell電子版に掲載された論文(英語)】
論文タイトル:Osmotic stress responses and plant growth controlled by potassium transporters in Arabidopsis.
http://www.plantcell.org/content/early/2013/02/07/tpc.112.105700.short

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