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植物バイテクをめぐる日本の研究成果:東京大学 稲の増収につながる遺伝子を発見
東京大学大学院農学生命科学研究科の経塚淳子准教授らの研究グループは、岡山大学資源植物科学研究所の前川雅彦教授らのグループなどとの共同研究により、作物の収量増につながる新規遺伝子TAWAWA1 (TAW1)をイネから発見したと、2012年12月26日、発表しました。
イネは枝分かれ(枝梗)が多ければ多いほど、穂につくコメ粒が多くなり、増収につながる可能性があります。この研究によって、新規遺伝子が、稲穂の枝分かれを促進し、稲穂に付くコメ粒の増減を微妙に調整していること、この遺伝子の働きが高まるとコメ粒の数が増加し、働きが低下するとコメ粒の数が減少することが明らかになりました。また、この遺伝子の働きが高いイネとコシヒカリとを交配した結果、コシヒカリの食味を保ったまま、収量を増加させることが出来た、と報告されています。
この研究は、稲の発生過程をコントロールし収量増加に直接結びつく遺伝子を発見したという点で意義深く、今後の品種改良による実用化が待たれます。また、TAW1遺伝子はイネ以外の作物にも存在していることが分っており、様々な作物の収量増につながる可能性があるため、今後の更なる研究が期待されます。
この研究の成果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」で発表されています。
【東京大学のプレスリリース】
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2012/20121226-2.html
【PNAS電子版に掲載された論文(英語)】
http://www.pnas.org/content/early/2012/12/21/1216151110