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植物バイテクをめぐる日本の研究成果:農業生物資源研究所 気象データ・遺伝子発現データによるイネの生育予測システムを構築

独立行政法人 農業生物資源研究所は、2012年12月5日、世界で初めて、気象データからイネの葉で働くほぼ全ての遺伝子の働きを予測するシステムを開発したと発表しました。

同研究所は、つくば市内の水田で生育させたイネから、作期全体にわたって葉のサンプルを採取し、ほぼ全遺伝子の発現量を調査するとともに、得られたデータと、気象データや移植後の日数、採取した時刻を、大型コンピュータを使って統計的に解析し、各遺伝子の発現ルールを計算しました。この計算結果を基に、同研究所は、イネの葉で働くことが分かった17,616個の遺伝子のうち、17,193個について、「気象データ」「移植後の日数」「時刻」を入力すれば、任意の遺伝子の発現程度を推定できるシステムを構築しました。

このシステムを活用することにより、過去の気象データを用いて高温障害などに関連する遺伝子を特定することができるだけでなく、将来的には、作物の生育状況を正確に予測し、施肥や農薬散布を最適な時期に行えるようになることが期待されます。また、様々な障害に関係の深い遺伝子をリストアップすることができれば、新たなイネの品種の開発にもつながる可能性があります。

この研究の成果は、米国の科学雑誌「Cell」の電子版に12月7日付で掲載されました。以下のリンク先を参照ください。

【農業生物資源研究所のプレスリリース】
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20121205/

【Cell電子版に掲載された論文(英語)】
論文タイトル:Deciphering and Prediction of Transcriptome Dynamics under Fluctuating Field Conditions
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867412013529

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