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乾燥耐性トウモロコシ、半世紀ぶりの大干ばつの救世主となるか?

 国連食糧農業機関(FAO)は2012年9月6日、2012年の穀物生産量が前年より2.2%減少して22億9480万トンになるとの予測を発表しました。米国で約半世紀ぶりとなる大干ばつをはじめとする、世界的な天候異変が原因とされています。米国ではトウモロコシとダイズの生産量が大幅に減少する見込みで、トウモロコシとダイズの国際価格が高騰し、これに引きずられる形でコムギの価格も上昇しています。

 このような状況で、干ばつ被害を救う作物として大いに注目されているのが、乾燥耐性トウモロコシです。乾燥耐性トウモロコシとは、遺伝子組み換え技術や最新の育種技術を用いて、雨量の少ない乾燥した環境下でも収穫量の減少を抑えることができるトウモロコシのことです。モンサント社がBASF社と共同開発した遺伝子組み換え乾燥耐性トウモロコシ(商品名:DroughtGard)は、2011年12月に米国農務省(USDA)より一般圃場での栽培が認められ、今年4月に初めて試験栽培が実現しました。また、デュポン・パイオニア社は最新の育種技術で開発した乾燥耐性トウモロコシ(商品名:AQUAmax)の商業栽培を2011年に開始しました。

 そして、2012年7月27日のScientific Americanオンライン版では、今回のような大干ばつにおけるこれら乾燥耐性トウモロコシへの期待に対して、次のように報じています。
 モンサント社でDroughtGardのマーケティングリーダーを務めるMark Edge氏は、「厳しい干ばつに対して、抜本的な解決策があるとは思っていません。私たちが出来ることは、あくまでもその損失を少なくすることです」と、収穫量確保の重要さを指摘しました。また、デュポン・パイオニア社の商品開発部門のマネージャーを務めるJeff Schussler氏も、「私たちにも限界はあることは理解しています。水がなければトウモロコシは育たない、その限界を私たちは認識しています」と乾燥耐性トウモロコシだけでは今回の大干ばつ問題を解決できないことを強調しました。

 とはいえ、両社は今年の乾燥耐性トウモロコシの出来に満足しています。そして何より、乾燥耐性トウモロコシは生産者に希望を与えるものだということが伝わってきます。この春から、約4万ヘクタールにわたる中西部の約250人の生産者がDroughtGardの試験栽培に参加し、その1人である西カンザス地域の農家、Clay Scott氏はこう語りました。「干ばつに対する取り組みで実際に成果を上げることができる段階になりつつあります。私たち農家はこのことに大変興奮しています」。

出典:Scientific American, 2012年7月27日掲載
Drought-Tolerant Corn Efforts Show Positive Early Results.
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=drought-tolerant-corn-trials-show-positive-early-results

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