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PG Economics、遺伝子組み換え作物の経済効果を発表、バイテクが発展途上国の農家により多くの収入をもたらした

 英国の経済系シンクタンク、PG Economicsの研究グループは、PG Economicsの2012年度年次報告書において、遺伝子組み換え作物が温室効果ガスの削減に大きな効果をもたらし、発展途上国の農家に対して多くの収入をもたらしたという調査結果を発表しました。PG Economicsは、遺伝子組み換え作物の商業栽培が開始された1996年以降、遺伝子組み換え作物が環境に与える影響とその経済効果を2006年から毎年、年次報告書に発表してきました。その目的は、世界の農家が遺伝子組み換え作物の栽培に取り組む理由を探ることにあります。

 環境への影響について明らかになったことは、遺伝子組み換え作物が温室効果ガスの削減に大きな効果をもたらしたということです。2010年、農家が遺伝子組み換え作物を生産することで削減された二酸化炭素の量は194億kgに上り、これは860万台の自動車が年間に排出する二酸化炭素の量に匹敵します。また、遺伝子組み換え作物の生産により、1996年から2010年までの15年間で、農家が使用する農薬の量は8.6%、4億3800万kgも減少したことが明らかになりました。

 経済効果としては、遺伝子組み換え作物を栽培している農家は2010年には140億ドル(1ドル78円の換算で1兆920億円)、1996年から2010年までの15年間では784億ドル(同6兆1152億円)もの収入を得たことが明らかになりました。農家の収入全体のうち60%(468億ドル、同3兆6504億円に相当)は、遺伝子組み換え技術による生産性の向上によってもたらされています。

 また、遺伝子組み換え作物が発展途上国の農家に与える影響の大きさも明らかになりました。2010年における全世界の農家の収入の55%は、発展途上国の農家によってもたらされています。その発展途上国の農家の90%は資源に乏しい小規模農家であるため、遺伝子組み換え作物を積極的に栽培することで多くの収入を得ていることが年次報告書で報告されています。

研究成果は2012年3月22日、PG Economicsの年次報告書「GM Crops: Global Socio Economic and Environmental Impacts 1996-2010」に掲載されました。
http://www.pgeconomics.co.uk/page/33/global-impact-2012

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