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バイテク情報普及会 宮崎県に意見書を提出

 バイテク情報普及会は4月11日、宮崎県の河野俊嗣知事に「宮崎県における遺伝子組み換え作物の野外栽培試験に関する意見書」を提出しました。
 宮崎県では現在、遺伝子組み換え作物の野外栽培実験に対する規制を求める活動が一部の市民団体によって行われています。本意見書は、このような規制が行われた場合、日本における新たな農業技術の研究開発を妨げるのみならず、海外から輸入される遺伝子組み換え作物の安全性確保の取り組みにおいてもその妨げになるものとして、宮崎県に適切なご対応をお願いしたものです。
要望書の全文は以下となります。

宮崎県における遺伝子組み換え作物の野外栽培試験に関する意見書

 バイテク情報普及会は「遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーに関する事実に基づく情報および科学的な情報」を提供・発信しております任意団体です。

 1996年に米国で遺伝子組み換え作物の商業栽培が開始されて以来15年を経て、現在では世界29ヶ国で栽培され、作付面積は1億4800万ヘクタールに達しており、今後ますます増え続けると予測されております。(ISAAA, 2011)

 遺伝子組み換え作物の栽培が比較的短期間で世界に普及した背景には、遺伝子組み換え技術がもたらす生産現場における省力性や、人や家畜並びに環境への安全性が認められてきたためと考えられます。また、今後は人口増加による食料問題に応え、食料の安定供給や持続可能な農業、気候変動による栽培環境の変化への対応、また、栄養性や工業利用効率を高めた作物など、農業分野におけるバイオテクノロジーのさらなる貢献が期待されています。

 しかしながら、日本ではいまだバイオテクノロジーを利用した農作物に対する懸念が根強く、商業化に向けた研究開発が推進される環境が整備されておりません。

 そのため、この分野における優れた研究開発の能力を有しながらも、それらを応用・実用化につなげるすべがなく、他国に大きく遅れを取っているといわれています。
 一方で、日本の食料自給率は極めて低く、食料や飼料の大半を海外に依存しています。穀物などを日本に輸出している栽培国では、遺伝子組み換え作物が積極的に導入されており、それらによって家畜の飼料を含め日本の食料供給が支えられています。
 海外で栽培され、日本へ輸出される可能性のある遺伝子組み換え作物は、日本への円滑な流通を可能にするため、事前に管轄省庁によって食品及び飼料としての安全性、並びに環境への影響について、関連法規の下で厳正な審査が実施され、その安全性が確認されています。
 安全性審査を受けるために必要な情報やデータについては、日本の環境下における野外栽培試験の結果も含まれています。また、野外栽培試験についてもその環境安全性が科学的に評価され、許可を得た上で実施されています。
 こうした調査の実績を積み上げていくことは、遺伝子組み換え作物の日本における生物多様性影響を評価する上で極めて重要であると考えます。

 昨今、宮崎県内外において、一部の市民団体から遺伝子組み換え作物の野外栽培試験の実施に対する規制を求める動きがみられます。しかしながら、野外栽培試験を規制することは、日本における新たな農業技術の研究開発を妨げるのみならず、海外から輸入される遺伝子組み換え作物の安全性確保の取り組みにおいても、その妨げとなるものと危惧しております。宮崎県におかれましては、これらの点をご考慮いただき適切なるご対応を賜りますよう切にお願い申し上げます。

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