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(独)農業生物資源研究所 植物の育種と遺伝子解析の新技術―植物の特定の遺伝子を狙って働きをなくす

(独)農業生物資源研究所は、DNA中の特定の塩基配列と結合するDNA切断酵素タンパク質(ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN))を利用し、特定の遺伝子の働きをなくした植物体を作出することに、世界で初めて成功しました。この研究成果は2010年6月29日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に公開され、同誌の注目論文として Breaking News のタイトルで紹介されました。
植物の品種改良には、突然変異を利用し偶発的に生じた個体の中から、目的の特性を持つものを選ぶ育種方法があります。しかし、目的の形質を持つものが見つかる頻度が低く、見つからないこともあり、どの遺伝子の働きをなくすとどのような形質になるか、予め推定できれば、育種の効率が大きく向上すると期待されていました。
この研究は、シロイヌナズナを用いて、特定の遺伝子をZFNにより切断、その形質を確認したもので、遺伝子を切断するだけで、特定の突然変異を誘起した植物を作り出すことに成功した例は世界で初めてです。また、この技術を応用して、様々な目的に応じた変異を導入できることも示唆され、不要な遺伝子を完全に取り除くことも可能と考えられており、作物の農業上好ましくない遺伝形質を取り除くなど、育種にも用いられる技術としても画期的なものです。さらには農業上や食品として望ましくない遺伝子、例えばアレルゲンの遺伝子を働かなくすることに役立つと考えられます。
今後この技術は、植物の基礎研究および突然変異を利用した育種に大きく貢献し、育種期間の大幅な短縮をもたらすことが期待されています。

(独)農業生物資源研究所
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20100906/

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