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ワシントン大学、遺伝子組み換え技術で環境浄化能力の高いポプラを開発
ワシントン大学の研究チームは、遺伝子組み換え技術を利用して、ポプラが環境中から汚染物質を吸収・分解して除去する能力を高めることに成功しました。その成果が米国アカデミー紀要(PNAS)で紹介されました。
ポプラは本来、地下水や大気の汚染物質として知られる発ガン性物質のトリクロロエチレンを分解する酵素をわずかに作ることが知られており、トリクロロエチレンを吸収した後、体内で分解して環境中から除去することができます。今回開発されたウサギの肝臓由来の遺伝子を組み込んだポプラは、より多くの酵素を作ることができるため反応が早く、トリクロロエチレンの分解能力が大幅に向上することがわかりました。
通常のポプラが液体中からトリクロロエチレンを除去するその能力はわずか3%程度であるといわれていますが、今回開発されたポプラでは91%を除去することが確認されています。大気中のトリクロロエチレンに対しても高い除去能力を発揮することがわかりました。また、トリクロロエチレン以外にも、汚染物質として問題となっているベンゼンやクロロホルム、四塩化炭素、塩化ビニルなどにも効果を発揮できると期待されています。実用化されれば、地下水汚染と大気汚染両方に対して、より低コストで効率の良い浄化対策を行うことが可能になります。
吸収、蓄積、代謝、蒸散といった植物の機能を活用して環境浄化を図る技術は「ファイトレメディエーション」と呼ばれていて、世界各国で様々な研究が行われています。
米国アカデミー紀要ホームページ
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0703276104v1