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食品安全委員会 遺伝子組み換えパパイヤの安全性を確認 報告書案をとりまとめ

食品安全委員会では現在、遺伝子組み換えパパイヤ(パパイヤリングスポットウイルス抵抗性パパイヤ55-1系統)の食品としての安全性評価を行っています。専門調査会が申請者提出の書類に基づいた審議をした結果、人の健康に影響を及ぼさないとの結論を下し、報告書案を取りまとめました。次のステップとして、この報告書案について一般から意見・情報の募集を行っています。

パパイヤリングスポットウィルス(PRSV)は、アブラムシによって伝搬され、多くのパパイヤに自然感染します。これまで、PRSVによる人や動物への感染や健康被害は知られていませんが、収量の低下などを引き起こし、パパイヤ生産者にとって大きな問題となっています。55-1系統は、弱毒化したPRSV CP遺伝子を導入しています。この遺伝子が、自然感染する強毒のPRSV CP遺伝子と相互作用を起こし、両方の遺伝子の発現が抑制されることにより、抵抗性が獲得されます。

PRSVおよびPRSV CPタンパク質のヒトへのアレルギー誘発性の報告はありません。これまでも、PRSVの自然感染を防ぐために、弱毒化したPRSVを人工的に感染させたパパイヤが販売されています。こうしたパパイヤにはPRSV CPタンパク質が含まれていますが、これまで健康被害は起きていません。

PRSV CPタンパク質は人工胃液、人工腸液を用いた試験によって、摂取後体内で速やかに消化されることが明らかになっています。また、既知のアレルギー誘発物質との構造の相同性についてデータベースで照合したところ、相同性を持つ物質は検出されませんでした。

1996年から2005年にかけてハワイで栽培された55-1系統と非組み換えパパイヤの主要構成成分、アミノ酸配列、無機物、ビタミン類を分析したところ、両者の分析値には差がありませんでした。また、パパイヤはもともと、有害物質であるBITCやカルパイン、パパインを産生することが知られていますが(ただし、いずれの物質も成熟果実の含有量は少ない)、これらの有害物質が増えていないか55-1系統を分析したところ、いずれも非組み換えパパイヤの分析値の範囲内でした。

これらの結果から、食品安全委員会では、遺伝子組み換えパパイヤ55-1系統を食べてもヒトの健康を損なうおそれはなく、安全であるとの結論を出しました。

この遺伝子組み換えパパイヤの食品の安全性については、アメリカでは1997年9月に食品医薬品局が、カナダでは2003年1月にカナダ保険省が認可をしました。栽培は1998年より始まり、1999年5月以降アメリカで販売されています。

食品安全委員会は6月26日まで意見募集を行い、寄せられた内容を踏まえたうえで最終的な判断を下し、厚生労働省に安全性について答申する予定です。

食品安全委員会ホームページ
パパイヤリングスポットウイルス抵抗性パパイヤ55-1系統に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての御意見・情報の募集について
http://www.fsc.go.jp:80/iken-bosyu/pc3_gm36_papaya_210528.html

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